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2012年6月13日

こんにちは。

稲葉歯科医院、院長の稲葉由里子です。

先日開催された稲葉繁先生の総入れ歯のセミナーのご報告です。

『上下顎同時印象による総入れ歯』の原型は、ドイツのDr.Reiner Strackの入れ歯です。

Dr.Strack は、稲葉繁先生が留学していた、チュービンゲン大学出身です。

それを引き継いだのが、Dr.Hans.shleich、大の日本好きで、度々訪れていたことから、家族ぐるみで、親しくさせていただいておりました。

そして、彼が引退するときに、すべての資料を稲葉先生に託しました。

現在、Dr.Strackの入れ歯を原形のまま教えているのは、稲葉先生だけです。

大元のイボクラーBPSシステムも指導者がさらに交代したことにより、オリジナル性とフィロソフィーが全くなくなりただ、手法だけを教える講習になってしまいました。

ドイツ人のDr.Strackの入れ歯を伝えられるのが、日本人だということが不思議です。

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現在、稲葉先生は、全国の先生方に広めています。
インプラントに頼らなくても、それ以上に満足いただける入れ歯です。

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稲葉先生が最終印象を上下顎同時印象するシステムを開発するの大きなきっかけとなったのはDr.shleichは、彼が引退する際、彼の資料をすべて稲葉先生に託しました。

日本における総義歯の大家といわれる方々は少なからずDr.shleichの影響を受けています。

たとえば村岡博先生、稲葉先生も仲良くさせていただいた方ですが、晩年はサブリンガルルームを舌棚と称し、義歯の安定に重要だと主張していました。

阿部晴彦先生のシルラシステムのオリジナルはDr.shleichの模型を正中矢状面で付着するコーディネーターが参考にされています

その他染谷先生、横田デンチャー、最近のBPSで下顎が吸着すると話題になっている阿部二郎先生など、数多くの人に影響を与えています。

今回のセミナーでは、上下顎同時印象法の歴史をたどることにより、新しい発見がたくさんありました。

オリジナルを勉強することはとても大切です。

オリジナルを知っていれば新しい技術に惑わされなくなります。

新しい技術のように発表されたことは、実はすでに、何十年も前に行われていることだったりします。

今回勉強した数々のスライドは決して色あせていませんでした。

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このスライドは稲葉先生が Dr.shleichに提供したものです。

日本の木床義歯、蜜蝋で上下顎同時印象したもので、起源は実は日本にあったというものです。

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この写真はDr.Schleichが日本に来日したときの実習風景です☆

なんだか、まわりは女性ばっかり・・・・・(笑)

Dr.Hans Schleichの業績はどのようなものだったのでしょうか?

ヨーロッパの多くの学者の業績をまとめあげ、Ivoclarのシステムを完成させました。

Prof.Boettgerの開発したナソマート咬合器、Prof.marxkorsの印象トレー、ゴシックアーチトレーサー、Gnatho meterはProf.Kleinrok、人工歯OrthositはDr.Strack、そして重合方法Ivocap Systemは Dr.Schleichのオリジナルです。

 

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1949年Strackは入れ歯の安定に対し、それまでのギージーによる歯槽頂間線法則を否定し、口の周りの筋肉による安定を求めました。

口腔周囲筋・唇・舌の力の均衡が取れるところ、即ち、もと歯が有ったところ(ニュートラルゾーン)に歯を並べると共に、頬筋・唇・舌により義歯を安定さえる方法を開発し、さらに顎機能に調和した人工歯を開発し、特許を取得しました。

現在使われているオルソシットという人工歯がそれです。

最初は陶器で有名なフュッチェンロイター社の陶器でしたが、30年前からリヒテンシュタインのIvoclar社のイソシットを使用したコンポジットの人工歯となりました。

人工歯が誘導し顎関節を守るというコンセプトです。

噛み合わせの誘導方法も一般のものとは少し異なり、側方運動では作業側は4,5の誘導と平行側では6,7番のスタンプカスプの内斜面同士で誘導します。

前方運動での誘導は、下顎の6番の近心頬側咬頭外斜面と上顎の5番の遠心頬側咬頭内斜面がガイドするようになっています。

型取りの方法はIvoclar からでているAccu-dentを用いております。

サブリンガルルーム、バッカルシェルフ(口の周りの筋肉)が驚くぐらいきれいにとれます。

http://www.ivoclarvivadent.us/en-us/all-products/products/impression-materials/bite-registration/accu-dent

型取りをするとき、口は必ず閉じていただきます。


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噛み合わせの高さはウィリス法をシュライヒ先生は使っていましたが、稲葉先生はそれにダビンチの比例法も取り入れています。

 

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発音のチェックも非常に大切です。

さ、た、ら は口蓋皺癖の音ですが、具体的にDr.Schleichはこのようなスライドをセミナーに用いていました。とてもわかりやすいですね☆

 

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 左はタ行、ナ行。右はラ行。

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 左はキ、右はヒの発音時に使われるところです。

これを参考に、患者様の発音をよく聞き、入れ歯の調整をするといいでしょう。

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最後に岩田先生の実際の臨床について講義があり、とても参考になりました。

今回のセミナーの模様、写真を、Dr.Schleichにお伝えする予定です。

この写真は今年の正月に送っていただいた家族の写真です。

本当に素晴らしい業績を残されたDr.Schleich、日本が大好きなので、ぜひ、また講義を聞きたいですね!

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今回ご参加いただいた先生方から感想をいただいているので、一部ご紹介いたします。

◆コンプリートデンチャーの歴史を学ぶことで知識の整理になった。正しい情報を正しく学ぶことが重要ですネ!!

◆稲葉先生のユーモアが冴えわたり、非常に楽しく受講させていただきました。総義歯にも取り組みたい興味がわきました。ライブが楽しみです。

◆「古きを尋ね」大変興味深く面白く拝聴しました。我々もこの歴史の流れの末端で末永く勉強してゆけるよう集中していきたいと思います。現在の大学教育の内容がもっと臨床に合ったものとなるよう先生の更なるご努力を期待しております。

◆印象のとり方から配列、咬合調整まで大変興味深い内容でした。今後の治療に役立てられるように努力していきたいと思います。

◆義歯について重要となるポイントを知ることができました。

◆昨年度の上下顎同時印象法による総義歯の実習ライブを稲葉歯科医院で受講させて頂いてから少しづつでもありますが、臨床に取り入れて日々診療をしております。これからも何卒宜しくお願いたします。

◆究極の総義歯システムが優れている理由が良くわかり大変勉強になりました。今日はありがとうございまいした。

◆とても面白かったです。実習コースにも参加してみたいと思いました。また開催されるようであれば参加させていただきたいです。

◆初めて参加したものですが、とても分かり易く勉強ができて、ありがとうございました。

◆毎回参加させていただいておりますが、今回初めて見ることが多く、また今日も大変楽しく参加することができました。少しずつではありますが、できるように楽しんで頑張っていこうと思います。感謝いたします。ありがとうございました。

◆国家試験には正しいことでも、実際の臨床においては間違っていることが多かった。稲葉先生が作っているような総義歯が作れるようになりたいと思った。毎回モチベーションがあがるとても貴重な講演を聞けて幸せです。ありがとうございました。

◆かなりハイレベルなFDの製作法で、使いこなせれば間違いなくstepup したFDが作れそうです。

◆大変勉強になりました。7月のライブデモのセミナー楽しみにしております。

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参加いただいた先生方も、本当に勉強熱心で、充実したセミナーが開催され、うれしく思いました。

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稲葉先生のダジャレに受けている先生方の様子。 会場も和やかな雰囲気でした☆♪本当にありがとうございました!!

2012年6月12日

2012年6月10,11日の二日間に渡り、顎咬合学会という噛み合わせの学会がありました。

5009名も歯科関係者が集まりました。

学会では、稲葉歯科医院顧問の稲葉繁先生が総入れ歯についてお話しをしました。

KaVo Dental Systems Japan というドイツの会社主催の講演会です。

稲葉先生が開発した総入れ歯は上下の顎の形を一緒に型取りをするというオリジナルの方法で、口の中の情報を完全にコピーできます。

従来の入れ歯の型取りは上下を別々に行っていましたが、稲葉先生の開発した方法は上下を一緒に型取りができ、さらに嚥下(つばを飲むこと)ができます。

嚥下するということは、食事をする時の口の状態を再現できるということなので、一番理想的な位置です。
http://www.ipsg.ne.jp/article/14050912.html ←こちらに詳しく書いてあります。

わたしの夢はこの方法を世界に発信することです。

学会の模様です。
http://www.shigelog.com/2012/06/201230.html

☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。

I attended a meeting of Academy of Clinical Dentistry Society last weekend.

5009 people attended from the industry.

At the meeting, my father gave a lecture about full dentures.

This lecture meeting was sponsored by a German company called KaVo Dental Systems.

The method of "full dentures" which my father developed  can completely copy the information of a mouth.

While ordinary method makes molding of upper and lower jaws separately,
his original method takes an impression of entire mouth by injecting
silicon form.

His way enables to take an impression of mouth when the patient is swallowing.

It might be easier to see the process by pictures:  http://www.ipsg.ne.jp/article/14050912.html

One of my dream is to inform his method to all over the world.

This is a report of the meeting.

http://www.shigelog.com/2012/06/201230.html

☆彡:・;.*:・。゜゜・:゜*:。゜.*。゜.o。・。゜o.゜。・*。・゜.。☆彡

『第30回日本顎咬合学会学術大会』が有楽町の東京国際フォーラムで開催されました☆


一日目、当院顧問の稲葉繁先生は『各種パーシャルデンチャーによる機能回復』の座長を務めましたが、残念ながら私は参加できず、二日目からの参加となりました。


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こちらは、KaVo Dental Systems Japan のブースです♪

とってもかっこよかったです^_^


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美しいユニット(診療台)です。

稲葉歯科医院のユニットはすべてこのカボ社の製品です。

このユニットを使うと、もう他のものは使えないかも・・・

ユニットが何倍もの効率を高めてくれて、患者様の負担を最小限にしてくれます。


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今回、稲葉繁先生の講演の整理券、10分でなくなるほどの人気ぶりでした。

会場が今回、少し狭かったので、キャンセル待ちに並ぶ長蛇の列・・・

会場が小さかったのが残念でした(-_-;)


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ぎゅうぎゅうで、立ち見席もいっぱいでした。

今回のランチョンセミナー、稲葉先生を抜かしてすべてインプラント関連ということもあり、反対に盛り上がってしまいました。

今、これだけの先生方が入れ歯に関心があり、勉強をしたいと思っているという事がよくわかりました。

『カボシステムによる究極の総入れ歯』です☆


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今回も沢山の動画を用いての講演、わかりやすいです。


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動画で、総入れ歯の制作方法を詳しく説明させていただきました。

本当に大盛況でした☆♪ 


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そして、すぐにテーブルクリニック。

大忙しで、移動です。

岩田副会長が、万全の準備をしていただいたので、スムーズに進むことができました^_^


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『日常臨床に応用する顎機能検査』←顎関節症の検査

こちらもカボ、ディグマを用いた症例です。



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先生方も大変熱心に聞いてくださいました☆


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こちらは、顎関節音の聴診、ドップラーのデモです。


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そして、ディグマのデモです。

3D画像と照らし合わせながら、行いました☆

先生方にもとても興味をもっていただけたと思います^_^


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こちらの写真は、ランチョンセミナーが始まる前に撮った記念写真。

左から、稲葉歯科医院のスタッフの西山さん、同じく稲葉歯科医院のホープ佐藤先生と、田嶋歯科医院の田嶋健先生、それから私です^_^


とても充実した学会でした☆



 


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稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子 顧問 稲葉繁

稲葉歯科医院
院長 稲葉由里子

昭和44年に父、稲葉繁(現・顧問)が文京区伝通院で稲葉歯科医院を開業、平成11年に場所を移して秋葉原で新しく開業しました。

「入れ歯が合わず、食べたいものが食べられない」
「口を開けると金属のバネが見えるのがいやだ」
「うまく発音できないので、しゃべるのがおっくう・・・」

このような入れ歯のお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか。

当院では、入れ歯の本場ドイツで直接学んだ技術を活かし、つけていることを忘れるくらい、自分の歯のように何でも噛めて、笑顔に自信がもてる入れ歯を作っております。

プライベートブログ