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2011年5月25日

2011年5月22日「ハーモニックオクルージョン」(審美と咬合のハーモニー)開催されました。

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全国各地からお集まりいただきありがとうございました。

宮城県石巻、仙台、他にも東北地方からもご参加いただき、先生方の咬合に対する思い入れの深さは本当に素晴らしいし、うれしかったです。

先週一気にお申込みをたくさんいただき、何人かの先生方にはご参加見合わせていただくほどでした。

来年はもう少し大きな会場にしたいと思います(≧ヘ≦)

日本歯科評論で4年間連載していた稲葉繁の「美の追究」の中で、

「咬合面は顎運動の象形文字」

と書かれています。

咬合面の形態を読むことにより、ある程度の下顎の運動や性状を知ることができます。

前歯が顎の誘導をした時、噛み合った上下の臼歯は咬頭や隆線が互いに相手の溝をすり抜けながら移動します。

いくら見えるところだけ美しい歯を入れたとしても、それが前歯と臼歯のハーモニーがとれていなければその価値はありません。

咬合の大事な知識をきちんと学んではじめて審美歯科が完成すると思います。

稲葉先生は「咬合というと難しいイメージがあるけど、もっと気軽に勉強してほしい。」
と話をしました。

審美歯科というと、一部の意識の高い人だけが対象のようなイメージがありますが、そんなことありません。

すべての方が対象だと思って、審美の分析、診断をしてプレゼンテーションする必要があると思います。

口の中に銀歯が入ってる国民は先進国では日本だけです。

アジアの中でも日本か中国かといったところだと思います。(そのうち日本だけになってしまうかも)

稲葉先生は「宇宙からきた人としか思えない。」と言ってました(*・ε・*)

私たちもこの状態に目も慣れてしまってはいけないと思います。

参加してくださった先生方はとても意識の高い方ばかりですが、改めて確信できたセミナーだったのでは?

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午前中は咬合の話がメインでした。

咬合器の話もありました。

咬合器は10センチの三角形、ボンウィルの三角ができるようなものを最低でも使わないといけません。

◆ゲーテの色彩学

◆エッシャーの世界

◆目の錯覚

◆歯の黄金律、1:1,618の法則

◆目は表情の質、口は表情の量

◆南カリフォルニア大学のProf.Richterのセミナーを受けた時の審美の法則

そして、ゲッティンゲン大学の教授A.Motschの図を勉強しました。

これ、とても簡単なので、ぜひ先生方覚えていただきたいと思います。

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上下の噛み合わせの基本(大事☆♪)

『下顎は上顎同名歯の近心に噛みこむ。例外は下顎の頬側遠心咬頭は上顎の中心窩にはいる。』

『上顎の咬頭は下顎の遠心窩に噛みこむ。例外は上顎67の近心舌側咬頭は下顎の中心窩にはいる。上顎45はシャープなので遠心窩』

これだけ覚えておけば、かなりすごいです。

これも難しければ、とりあえず、『下顎は上顎同名歯の近心に噛みこむ』 を覚えてから例外を覚えるといいかと思います。

上顎の4,5は一番高いところなので、下顎の歯間部に入ると隙間をあけてしまうので注意です。遠心窩で噛ませましょう。

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そして、咬合面にゴシックアーチを書いた模型です。

稲葉先生が下顎にボールペンを植え込み上顎とかみ合わせ、前方運動、側方運動などゴシックアーチの運動をさせたものです。(おもしろいですね)

日本歯科大学卒業した先生方なら稲葉先生の講義で一度は目にしてるのでは?

この描かれた通りに咬合調整時、溝を切っていきます。

参加してくださった先生方の感想を一部ご紹介させていただきます。

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◆DVDの中では毎日のように稲葉先生にお会いしていますが、やっぱり生はいいです。基本の上にも基本を大切にして、明日からの臨床にはげみたいと思います。

◆審美歯科は最近の流行りで、形や見た目だけに特化した治療をしているように私は思っていました。しかし、稲葉先生のハーモニックオクルージョンをお聞き してそうではなく、咬合と審美のハーモニーが大切で、審美も個人的な見解ではなく客観的なデータのもと治療をしていく必要があるのだと気づかされ、大変役 に立ちました。今回も楽しく参加させていただきました。ありがとうございます。

◆ 審美歯科では、前歯の色や形態だけでなく、臼歯もみて、咬頭嵌合位のことを考えていく事が必要なのだとわかりました。顎関節と歯列の調和が大切であるとい うことを知ることができてすごくためになりました。『審美』についての歴史やゲーテの色彩学についても知ることができて楽しかったです。ありがとうござい ました。稲葉先生のお話しを聞くことができて幸せです。

◆DIGMAを用いて製作した修復物の症例、データ、咬合採得、プロビジョナルなど、もう少し細かいところが教えていただけるとうれしいです。

◆シェードの見方(見すぎている事)に気づきがありました。哺乳瓶のNUK早速買ってみます。口蓋皺癖にも注意してみます。

◆今日も大変勉強になりました。本日の咬合の授業にあてはまる患者さんがいらっしゃるので治療にいかしていきたいと思います。

◆普段の臨床の中で審美と機能の両立を目指していますが、非常に難しく思っています。まだまだ理解が甘いですが、今日教えていただいた指標を頭に入れて取り組んでいけば、少しずつ迷いがなくなるのではないかと思います。

◆いろいろな方向から咬合と美を考えられ勉強になりました。咬合診断を深く学びたいと思いました。

◆大変わかりやすいお話しありがとうございました。

◆治療前の診断(審美、咬合)を適切に行う事は治療計画から最終補綴、予後を予想できる分析の重要性を再認識しました。

◆前歯と臼歯のハーモニーがとても大切な事がよく分かりました。単に白い、単に1つ1つの歯がきれいならば良いという事でない事がよく分かりました。患者 さんによく「おたくの歯科医院では審美歯科をやっているのですか?」と聞かれます。今日の講義をもとに患者様に何が美しいのかを説明できるようにしたいで す。

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「審美歯科」で儲けよう。てっとり早く「審美歯科」を学ぼうという軽い内容ではないことが今回受講された先生方はすでにご理解いただいていました。

今回の感想の中にもありましたが、患者様に何が美しいのか、分析をもとに説明できることが非常に重要と感じました。

すべての患者さんにとって当たり前に必要なものです。

『どんなにすばらしい形や色彩で審美的修復をしたとしても、顎機能や咬合を考えなかったら、大失敗です。前歯の修復は、確実な咬合状態の確立があって、初めて成功します。審美歯科は一部の人が治療する特別な事ではありません。』

そのあたり、今回参加してくださった先生方は深くご理解いただけていました。

稲葉先生の審美に対する考え、文献はきちんとまとめてIPSGのサイトにアップする必要がありそうです。

少しお待ちくださいね。

本当にありがとうございました。

2011年5月16日

今回参加してくださった先生方はみんな前回の「顎関節症の診断と治療」に参加いただいた方だったので、アットホームな雰囲気で楽しく勉強することができました。

6年間1,9センチしか口を開くことが出来なかった患者さんが、6年ぶりに口が開きました。

慢性的なクローズドロックだったので、私は少し不安でしたが、順序立てて稲葉先生は思った通りに患者さんの口を開けました。

患者さんもすごくびっくりしていたし、大変感謝されました。

 

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 患者さんは33歳女性、6年前から口が開かなくなりました。開口量は1,9センチ、歯ぎしりくいしばりがあるため朝、筋肉の疲労があるそうです。

患者さんはインターネットでいろいろ調べて、手術の可能性もあると書いてあり、相談するのがとても怖かったそうです。

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問診後、レントゲン撮影、そしてKaVo Dental systems Japan のディグマ2による顎機能検査をしました。初診の状態を把握するためです。

 

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ディグマ2は超音波測定によるデジタル式顎運動計測装置です。

http://www.kavo.co.jp/products/imaging/arcusdigma2/

ディグマ1にくらべて何が違うのでしょうか。

まず、パソコンとディスプレイが直接つながるようになったことが一つ。

二つ目はセンサーの数とセンサーの位置が違うそうです。

電波を受ける数が増えて、前の方にセンサーがあったのが歯列にそわせてセンサーをつけたため、測定の効果が飛躍的にあがり、測定のスピードもあがったようです。

三つ目は上顎の位置決めが眼窩下点をとることによってより精度をあがったとKavoの方がおっしゃっていました。

さて、口を開くことができないと上下の歯列の印象がとれません。

今回の患者さんは6年前からのクローズドロックなので、急性なものに比べ、開けるのが難しいです。

慢性的なクローズドロックは筋肉や関節が固まっているので、温湿布が非常に効果があります。

ディグマの計測のあと、まず、顎二腹筋の温湿布を行いました。

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タオルを温めてサランラップでくるみます。10分ほど温めました。

その後、ドップラーで聴診。

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左側にクリック音がありました。

そして、口を開けるために患側にロールワッテを2つ噛ませて反対側へ顎をぎゅっと移動させます。

クローズドロックで落ちた円板を復位させる方法です。

すると、本当に大きく口を開けることができました。

患者さんは関節に円板がのるときに、バキバキっと音がしたとおっしゃっていました。

6年ぶりに口を開けることができた患者さんはびっくりしたのと同時にとても喜んでいらっしゃいました。

やっと口を開くことができたので、上下の歯の印象です。

今回の印象はマールブルグ大学のLehmann教授が開発した、コレクトア・アップドュルック(精密印象)でとりました。フェイスボートランスファー、中心位、チェックバイトの記録をしてKaVoのプロター7に模型を付着する方法を勉強しました。

 

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コレクトア・アップデュルックの精密印象法をyoutubeにアップしました☆
http://www.youtube.com/watch?v=UT_SZAsGvro」

稲葉先生の目線から動画を記録したので、ぜひご覧ください!

咬合器で中心位と中心咬合位のズレを調べ、側方位の干渉、原因をみつけました。

咬合器で印をつけた歯の咬合調整です。

歯は高いところを削るのではなく、咬頭が通りやすいように溝をつけたり、窩を広くしてあげることです。

患者さんは快適なかみ合わせになってとても喜ばれていました。

開口量も4センチ、ほぼ倍も開きました。

その後、スプリントの製作法のデモも行いました。

最後にディグマで記録を再度とり、治療前治療後を比較しました。

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ディグマの治療前治療後の劇的な違い、ビフォーアフターは一夜にしてまるで別人のデータでした。

何よりも患者さんが大変喜んでいただいた事をうれしく思います。
顎関節症の症状がなくなったことで、今までよりも耳が聞こえるようになった。目が開くようになった。などびっくりするようなコメントもいただきました。


動画も記録したので、後日DVDとして発売される予定です。
楽しみにしていてくださいね☆
 
そして、今回参加いただいた先生の感想をいただきましたので、一部ご紹介させていただきます。
 
◆大変興味深い実習でした。患者さんの治療はすばらしかったです。それ以上に患者さんの緊張をほぐしてやさしく接する向かい方が大変参考になりました。次回も参加するつもりです。よろしくお願いいたします。
 
◆顎関節症の実習は2回目です。一回聞いて自分の患者様で模型をつくり、実践し、もう一度稲葉先生の実習に来ると、本当に今まで気が付かない細かい点や自分に足りないところが再発見できました。目に見えない顎関節が頭にとてもよくイメージできました。
 
◆たくさんの質問に快く答えて頂いてありがとうございました。勉強すればするほどたくさんの疑問が生じるのも事実ですが、少しでも稲葉先生に近づけるように精進していきたいです。
 
◆咬合器に付着して咬合診断を行うと、口腔内の診断との違いが良くわかりました。一番驚いた事は今回の患者さんに舌癖があるという事です。
 
◆今回、先生が行われた一つ一つの動きをみて、とても無駄がなく、診療がとてもきれいだと感じました。
何回もこれから参加させていただいて、先生と同じように顎関節症で悩んでいらっしゃる患者さんを治したいと強く感じました。ありがとうございました!!
 
◆より、セントリックバイトの採得を正確に確実にできるようになりたいと思います。また円板を確実に乗せられるよう精進したいと思います。
 
◆私も顎関節や咬合が悪く、肩こり、頭痛など深い症状があったのですが、点が線でつながるようにそれらが理解でき、自分の体に希望が持てました。
懇親会でワインの飲み方を教えていただいたので、今度は日本酒でお願いします(笑)
 
◆診査診断のプロセス、模型の作り方、咬合器の使い方など細かい説明をわかりやすく教えていただきとても勉強になりました。KAVOのDigma2を使用しての顎運動測定もわかりやすく解説していただきよかったです。 

  。:*━♪━*:。━♪━。:*━♪━*:。━♪━。:*━♪━*:。 

2日間参加してくださった先生方、本当にありがとうございました!!


そして、IPSGのスタッフの先生方のおかげで今回のような充実したセミナーを開催することができました。
ご苦労様でした☆♪

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稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子 顧問 稲葉繁

稲葉歯科医院
院長 稲葉由里子

昭和44年に父、稲葉繁(現・顧問)が文京区伝通院で稲葉歯科医院を開業、平成11年に場所を移して秋葉原で新しく開業しました。

「入れ歯が合わず、食べたいものが食べられない」
「口を開けると金属のバネが見えるのがいやだ」
「うまく発音できないので、しゃべるのがおっくう・・・」

このような入れ歯のお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか。

当院では、入れ歯の本場ドイツで直接学んだ技術を活かし、つけていることを忘れるくらい、自分の歯のように何でも噛めて、笑顔に自信がもてる入れ歯を作っております。

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