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2015年1月28日

こんにちは。
稲葉歯科医院院長、稲葉由里子です。

入れ歯に関する問い合わせそして相談が以前に増して増えています。

当院の患者様は全国からいらっしゃいますが、最近は海外に住んでいらっしゃる日本人の患者様からご相談をいただくようになりました。

やはり、入れ歯に関する情報は日本語で読み、日本人の先生に相談をされたいと思われているようです。

テレスコープシステムは、大変精密で技工作業にどうしても時間がかかります。
高度な技術も必要ですし、簡単には製作できません。

型とりをしてから最低でも4回は通っていただく必要があります。
患者様は一ヶ月に一度、日本に治療にいらしていただいておりますが、完成に期待を寄せ、楽しみにしてくださっています。

世界的にもインプラント治療に偏っている傾向にあるので、インプラントが出来ない方、またやりたくない方は、テレスコープシステムの技術を求めて帰国されるようです。

ドイツでは120年以上の歴史あるテレスコープシステム、入れ歯の技術が今、日本で求められていると実感しています。

そして、全体的に、最近のご相談内容で多い事。

以前は、入れ歯になるのが嫌だから、インプラントをされる方が多くいらっしゃいました。
最近の傾向としては、インプラントをするのが嫌だから、入れ歯をしたいとおっしゃる方が増えているように感じます。

先日、どうしてもインプラントをしたくないとおっしゃる患者様がいらっしゃいました。
沢山の歯科医院に相談したけれども、120%すべての先生がインプラントを薦められるので、治療が先に進まないということでした。

患者様は、説得される度に疲れてしまったといいます。

また、別の例では、70代の女性の患者様のお口の中に歯8本のインプラントが入っていました。
最初は3本のインプラントだけでしたが、継ぎ足し継ぎ足しで8本になったとおっしゃいました。

大変な思いをされて治療されたインプラントは腫れていました。
痛くて噛めないとおっしゃいます。
今回、もう1本化膿した歯があるので、そこもインプラントと言われ、もう嫌になってしまったそうです。

私は思いました。

もっと、全体的に治療計画を立てないといけなかったのでは・・・
ということです。

歯がないところにインプラントを入れる。

という治療計画はあまりに安易だと感じます。
患者様の年齢も考え、将来他の残っている歯がどうなるかも予想し、患者様にもリスクをお伝えしないと、結果患者様から信頼を失ってしまう事にもなりかねません。

また、せっかく入れたインプラントですが、噛み合わせがあっていない、噛んでいないケースも多く見受けられます。

昨年、ドイツチュービンゲン大学、Weber教授をお招きし、ドイツでの最新治療についてお話をいただきました。

多数歯欠損(沢山の歯を失っている場合)インプラント治療の上部構造にテレスコープシステムを併用することが増えていて、万が一インプラントを失ってしまっても対応できるようにされていました。

入れ歯をするにも、インプラントをするにも、診査診断はとても重要だと思います。

失った歯だけを補えば良いわけではなく、全体を予測することが大切です。

ドイツの歯科大学では、失った歯に対して、入れ歯やインプラントの治療計画、設計の授業があります。

教授を交えて議論します。

日本でも大学から、診査診断治療計画、全体を予測する教育がとても大切だと感じました。


2015年1月 9日

稲葉歯科医院顧問、稲葉繁先生が代表を務めるIPSG包括歯科医療研究会の学術大会に登山家でありプロスキーヤーの三浦雄一郎さんをお招きしました♪

以前、スイスの銀行UBSからのご招待で三浦雄一郎さんのお話を伺う機会がありました。

お話の中で『嚥下』の話題がでてきたのですが、大変興味深く、是非皆様にも聞いて頂きたいと思い、今回の企画に至りました。 

『超高齢社会におけるチャレンジと夢』

〜三浦氏が語る嚥下の重要性〜

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▼三浦雄一郎さん略歴 

・1932年青森市に生まれる。

・1964年イタリア・キロメーターランセに日本人として初めて参加、 時速172.084キロの当時の世界新記録樹立。

・1966年富士山直滑降。

・1970年エベレスト・サウスコル8,000m 世界最高地点スキー滑降(ギネス認定)を成し遂げ、 その記録映画 [THE MAN WHO SKIED DOWN EVEREST] はアカデミー賞を受賞。

・1985年世界七大陸最高峰のスキー滑降を完全達成。

・2003年次男(豪太)とともにエベレスト登頂、 当時の世界最高年齢登頂記録(70歳7ヶ月)樹立。

・2008年、75歳2度目、2013年80歳にて3度目のエベレスト登頂 世界最高年齢登頂記録更新を果たす。 アドベンチャー・スキーヤーとしてだけでなく、行動する知性派また教育者として 国際的に活躍中。 記録映画、写真集、著書多数。 

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三浦雄一郎さんは、世界七大陸最高峰全峰から滑降を成功させたアドベンチャー・スキーヤーや登山家としてだけでなく、写真集や著書なども多数出版され、行動する知性派また教育者として国際的に活躍されている方です。

昨年5月に80才で3度目のエベレスト登頂に成功しました。

片足に5キロ、背中に25キロの重りをつけてとにかく歩いてトレーニングをされたそうです。

76才の時には大腿骨骨折、普通は寝たきりになってしまうこともあるかと思いますが、登頂への強い意志で乗り切り、80才登頂に成功したそうです。

8000メートルはデスゾーンと呼ばれるそうですが、ここは寝ていても軽くジョギングしているような心拍数、常に心臓にも負担がかかっている状態です。 

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80才とは思えない程強い声、そして冗談を交えて聞く人たちを惹き付けていて素晴らしい講演でした。

普通では考えられない様な運動量。

三浦さんはよく若い人たちと飲んだり食べたりされるそうですが、ステーキは今でも1キロ召し上がるそうで、次の日はお腹が空いているとおっしゃっていました。

「草食系男子とか、肉食系女子という言葉があるけれど、僕は肉食系老人というところでしょうか。」

会場は大爆笑。

歯に関しても、興味深いお話がありました。 

海外遠征をする際、気をつけることの中に虫歯治療があるそうです。

以前、ヒマラヤに行って、3500メートル、3800メートルと登るに連れて高山病とともに奥歯が腫れてしまったそうです。

とても山を登れる状態ではなくなり・・・・

歯医者の心得のあるおばあちゃんがでてきて。笑

シェルパならば麻酔なしで抜いてしまうそうですが、日本人や欧米人は怖がりだからということで、麻酔をして抜いてくれたそうです。

歯医者の心得・・・

こっ怖いです〜!! 

結局その時は、ドクターストップで下山されたそうです。 

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いよいよ『嚥下』の重要性についてお話がありました。 

三浦雄一郎さんのお父様、三浦敬三さんは101才で現役のプロスキーヤーだったそうで、99才でモンブランを滑走されたということです。

その秘訣は・・・ なんと、『嚥下』だそうです♪

毎朝、嚥下体操(舌だし体操)を100回なさっているそうです。

顔の皺がよらないためにはどういう方法がいいか、顔面の筋肉を強化したほうがいいのではとお考えになったそうです。

舌だし体操により、胸の筋肉や首の筋肉の他、顔面全体の筋肉を使う事を実感されたそうです。 

そして90歳を越えると食が細くなりますが、玄米を最低50回から100回噛んでいた。

とおっしゃっていました。

呼吸法に関しても大変興味深いお話がありました。

口をふさぎ、片側の鼻を抑えてゆっくり呼吸をする運動をされていたそうです。

IPSG会長の飯塚能成先生の講演の中で、このような事を先生方にお伝えしていました。 

『呼吸は普段は無意識に行っている付随運動ですが、意識的にも呼吸ができます。

意識的な鼻呼吸は自立神経に働きかける事ができます。

鼻呼吸と嚥下は唯一意識的に自立神経に働きかける事ができます。

そして、鼻腔は気道の最初の入り口であり空気中の異物を除去したり、加湿、加温などにより肺を保護しています。』

三浦さんのお父様が感覚的にやってきたことが、実は凄い健康法だったということです。

脳の血流は97歳で40代の血流。

102歳でボケる事なく亡くなったということです。

もうひとつ、わたしが感銘したのは、三浦雄一郎さんはいつもバリアだらけで生活をされているということです。 

今、日本ではバリアフリーの施設が増えています。

介護施設でもほとんどがバリアフリー。

ですが、ドイツの要介護老人施設では、エレベーターを使わずに頑張って歩いたり、階段や段差も乗り越えることを推奨しています。

それこそが、リハビリなのではないでしょうか。

バリアフリーにしすぎてしまった結果、日本では寝たきり老人が急増しています。

三浦さんは片足に5キロずつ、そして背中に25キロの重りを背負っています。

そして家の中はバリアだらけ。 

最後に・・・

稲葉先生が質問。

「85歳でエベレスト登頂を目指しているのでしょうか?」

三浦さんからはビックリするような答えが帰ってきました。

「実は85歳でエベレストではないけれど、他の8000メートル級の山を登り、帰りはスキーで下山しようと思っています。そして、90歳でエベレストを目指したい。IPS細胞に大きな期待を寄せています。」

ということでした。

会場の先生方は空いた口が塞がらないほど驚きと響めきがありました。  

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三浦さんのエベレスト登頂に向けた攻めの気持ちをお聞きして、ご参加いただいた先生方も大きな刺激を受けていただいたと思います。

歯科の分野で重要な事は『歯』に関する知識だけではありません。

目標を持って、技術を向上するために、三浦さんのお話に刺激を受ける事は非常に大切だと感じました♪

講演後、お送りさせていただいたのですが、三浦さんは『嚥下』に大変感心がおありで、今回稲葉先生と飯塚会長の講演も熱心に聞いてくださいました。 

「飯塚先生がお話されていたラビリントレーナーは素晴らしい。舌だし体操100回と同じ、もしくはそれ以上の効果が、ラビリントレーナーはわずかな訓練で効かせることができますね。」 

と、大変興味を持っていただけました。

エレベーターに乗ろうとすると・・・

「こんなにいい階段があるから、こっちで降ります。」

と、軽快に20キロのリュックサックで階段を降りてらっしゃいました。

常にバリアなしなのですね(^_^)

85歳での登頂、心より応援したいと思います!!! 


2015年1月 5日

『高齢者の食生活に対するリハビリテーション』

〜稲葉歯科医院顧問、IPSG包括歯科医療研究会代表〜

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稲葉先生は昭和63年より大学で日本で最初の高齢者歯科を立ち上げました。 

丁度日本で高齢化が始まった時です。

65才以上の人が全人口に占める割合が14%を超えると高齢化が始まったといわれます。

17%を超えると高齢化の化がとれ高齢社会となり、さらに25%に達すると超高齢社会に突入します。 

現在我々は超高齢社会の真っただ中にいるという訳です。

従って僅か25年で4人に1人が高齢者ということになります。

日本の高齢者の特徴は欧米と比べ、口腔の状況が悪く食事がうまく取れないことです。

このような事情で国は平成元年に8020運動を立ち上げ、 80才で20本の歯を保とうという運動でしたが、20年経過した今でも20本保っていないのが現実です。

当時は8005で僅かに5本しか有りませんでしたが、現在でも僅か8010程度で、 なかなか20本には到達できません。

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学術大会の特別ゲスト、三浦雄一郎さんも『嚥下』について大変興味を持たれ、稲葉先生と飯塚先生の講演を聞くために早くいらっしゃってくださいました(^_^) 

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現在85才で60%の人が総義歯になっています。

総義歯になってもその評価が低く、考えられないような安い値段で作らなければなりません。

したがって義歯をいくつ作っても合わない、食事をするときには外す、 というような事態に陥っています。

総義歯は多くの知識と技術が必要になります。

解剖学、生理学、生化学、理工学 etc.の集合した知識が必要ですがその評価が考えられない位低いのが現実です。

その結果何不自由なく噛める義歯が少ないことも事実です。

「リハビリテーション」とは本来あった状況に戻すということが目的です。

しかし日本では現状で対応しようとし、もと有った機能を取り戻し健康を保つことを考えていません。

食べられなければ米はお粥にし、副菜はミキサーにかけてトロミをつけて飲み込ませ、 元の形や食感などは二の次です。

本来の食生活とは遠いものです。

私たち歯科医師はこのような高齢者に対し、本来の食事が出来るように、 リハビリテーションの一環として、質の高い義歯を入れ、 高齢者の食生活を護ることが出来るのです。

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実は今回、ご覧頂いたのは、三浦雄一郎さんのお父様、 三浦敬三さんのビデオです。

三浦敬三さんは101才で現役のプロスキーヤー、99才でモンブランを滑走されました。

その秘訣について、『食生活』と『嚥下体操』について語られていたので、稲葉先生は録画し、大切に持っていたそうです。

毎朝、嚥下体操(舌だし体操)を100回。

顔の皺がよらないためにはどういう方法がいいか、顔面の筋肉を強化したほうがいいのではとお考えになったそうです。

舌だし体操により、胸の筋肉や首の筋肉の他、顔面全体の筋肉を使う事を実感されたそうです。

そして90歳を越えると食が細くなりますが、玄米を最低50回から100回噛んでいたそうです。

今回の動画をご覧頂き、口腔機能のリハビリテーションは非常に大切だと実感していただいたと思います。

摂食、咀嚼、嚥下が元のように回復するのが、本来のリハビリテーションだと考えます。

続いて、IPSG包括歯科医療研究会、会長の飯塚能成先生の発表です♪  

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今回、飯塚会長は、三浦雄一郎さんがいらっしゃるということで、ぜひラビリントレーナーを紹介させていただきたいとおっしゃっていました。 

飯塚会長は、稲葉先生が開発されたラビリントレーナーを用いて、施設や病院に直接出向き、摂食・嚥下訓練の普及に努めています。 

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事前に、三浦さんにもラビリントレーナーをお渡ししたのですが、講義が始まる前から興味津々の模様です(^_^) 

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最近、若い人の発音の悪さが目立つ時代であると同時に、高齢者の方は嚥下機能の低下が深刻な問題となっています。

これまで4番目だった「肺炎」による死亡数が脳血管疾患と入れ替わり、3大死因のひとつになりました。

これは、高齢者の人口が増え、誤嚥性肺炎が増加したことが影響していると考えられます。

現在、高齢者の誤嚥性肺炎に対する対策はほとんどされていないのが現状です。 

私たち歯科関係者がどのように『摂食・嚥下』に取り組んだら良いのかを、具体的にお話くださいました。

とくに、飯塚会長が大切だと訴えられていたのは

『鼻呼吸』の重要性についてです。

こちらに関しましては、IPSGサイトの中のQ&Aページで詳しく解説してくださいましたので、ぜひご覧下さい。  

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講演の最後は三浦雄一郎さんや安生朝子先生を交えて、ラビリントレーナーの実習を行いました♪ 

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ラビリン体操を先生方に体験していただき、その効果を実感していただきました。 

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ラビリン体操を行うことで、体全身に力が入ることを会場の先生方は実感してくださったと思います。 

飯塚会長のお話の中でもう一つ印象的だったのは、

「今や元気な高齢者による高齢社会作りが大切」

ということです。 

講演後、三浦さんから

「飯塚先生がお話されていたラビリントレーナーは素晴らしい。舌だし体操100回と同じ、もしくはそれ以上の効果が、ラビリントレーナーはわずかな訓練で効かせることができますね。」

と、大変興味を持っていただけました。

超高齢社会を迎えた現在の日本で、口腔トレーニングの重要さを強く感じた、今回の学術大会でした。

 

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稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子 顧問 稲葉繁

稲葉歯科医院
院長 稲葉由里子

昭和44年に父、稲葉繁(現・顧問)が文京区伝通院で稲葉歯科医院を開業、平成11年に場所を移して秋葉原で新しく開業しました。

「入れ歯が合わず、食べたいものが食べられない」
「口を開けると金属のバネが見えるのがいやだ」
「うまく発音できないので、しゃべるのがおっくう・・・」

このような入れ歯のお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか。

当院では、入れ歯の本場ドイツで直接学んだ技術を活かし、つけていることを忘れるくらい、自分の歯のように何でも噛めて、笑顔に自信がもてる入れ歯を作っております。

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