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2014年5月16日

稲葉歯科医院、院長稲葉由里子です。

『ドイツ最先端義歯とインプラントの融合』

IPSG20周年特別記念講演会のゲスト ドイツ・チュービンゲン大学 歯学部長 Prof.Dr.H.Weberの講演についてお伝えします☆♪

The German state of the art of combined fixed removable partial dentures and implant stabilized supra structures.

『最先端補綴修復治療の最新情報-従来からの固定性および可撤性補綴物ならびにインプラント埋入及び修復術 』

略歴

1974年 学位取得(歯科医学博士)

1982年 補綴学講座教授及び学科長、チュービンゲン大学

1990-91年 医学部学部長、チュービンゲン大学

1996年 EPAヨーロッパ補綴学会会長

2013年 DGZIドイツ口腔インプラント学会会長

ドイツにおける補綴歯科医学会の最高峰。

インプラントとテレスコープを使用した補綴法の第一人者。チュービンゲン大学主任教授。

元ヨーロッパ補綴学会会長。世界各地にて600回以上、口腔に関する発表、講演等を行っています。

座長をお願いさせていただいたのは、1996年にチュービンゲン大学、Weber教授の元に留学をされていた、神奈川歯科大学付属横浜クリニックインプラント科教授の林昌二先生です。  

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ドイツでは、卒業した大学の教授になることはできず、他の大学の教授になるという決まりがあります。

そのため、Weber教授は、デュッセルドルフ大学卒業でいらっしゃいますが、30代という若さで、チュービンゲン大学の教授となりました。

ヨーロッパ補綴学会会長も務め、ドイツ口腔インプラント学会の発起人でもあります。

EDZK会長、そして International Academy of Facial Restorationのメンバーでいらっしゃいます。

こちらの学会は世界中から集まり、メンバーは45名限定とお聞きました。

Weber教授の元には、多くの留学生を受け入れていて、補綴科、歯科技工科の他に生体工学を歯科の分野として研究されているそうです。

今回の特別講演会の模様は、映像を収録し、販売する予定でありましたが、個人情報や特許の情報など、かなり盛り込まれていたので、公開しないことになりました。

報告はごく一部限られた物ではありますが、『ドイツ最先端義歯とインプラントの融合』の素晴らしさについてお伝えできればと思います。 

Weber教授の患者様は世界中からいらしていて、ロシア、ギリシャの政治家、サウジアラビアのロイヤルファミリーなど、VIPな方々です。

会場に参加してくださった方のみが聞ける貴重な講演になったと思います。

最初に、IPSG包括歯科医療研究会20周年のお祝いの言葉をいただき、ご自身のプロフィールをお話いただきました。

IPSGは、International Practical Study Grop の略ですが、この名前が素晴らしいこと、そしてWeber教授ご自身、ドクターだけではなく、テクニシャンの支えがなければ、私は今ここにはいないでしょう。

とお話しがありました。 

講演会の前にも、テクニシャンはどのくらい参加しているのかということをとても気になさっていて、ぜひテクニシャンの方々に興味を持って頂きたいとおっしゃっていました。

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こちらのパワーポイントには義歯の設計でとても大切なことをお伝えしていました。

遊離端は長い方が、義歯を支える最後方歯にかかる負担が少ないこと。

一見、負担がかかりそうな感じがしますが、稲葉先生がいつもお伝えしているように、遊離端は長いほうがいい。

ということで、Weber教授も同じことをおっしゃっていました。

もうひとつ、気をつけないといけないのが、中間歯欠損の真ん中の歯は要注意です。

その歯を支点として、シーソー現象をおこし、骨の吸収や破折の原因となります。

テレスコープでしっかり一次固定をするなどの対策が必要です。

インプラントであっても、同じ現象が起きるので注意が必要であるというお話がありました。

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今回びっくりしたことの一つがやはり、チュービンゲン大学の学生の症例だと思います。

数症例、フルマウスの学生の症例をみせてくださいました。

技工操作はできないけれど、その他すべての形成、印象、バイトそして設計まで学生が行います。

ドイツでは、学生の実習にこのような症例がすべて含まれていて、大変レベルが高い仕事を学生時代の最初に行います。 

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Schwenkriegel(旋回リーゲル)から Drehriegel(回転リーゲル)など、様々なリーゲルテレスコープの症例を数多く見させて頂きました。

Weber教授は、リーゲルテレスコープやアタッチメントを説明する時に、

「取り外しはできるけど、ブリッジと同じ感覚だと伝える」

ことで、患者様は安心することができる。

と臨床現場でのヒントもいただきました。 

今回、私がとても驚いたのが、エピテーゼの症例です。

チュービンゲン大学がエピテーゼが大変進んでいますが、その固定方法として、リーゲルテレスコープが応用されていました。

確かに、鍵、レバーで固定することで非常に安定感を得ることができると思います。

ドイツならではの技術にとても驚かされました。

写真をお見せできないのが残念ではありますが、来年の春、2年に1度開催される、世界で一番大きなデンタルショーに参加するのを機会にチュービンゲン大学を訪問するので、ご自身の目で沢山の技術を確かめていただければと思います。 

今回の講演では、固定性ならびに可撤性補綴物の最新補綴学について詳しくお話をいただきました。

『放電加工』などの最新テクノロジーは、義歯と組み合わせた固定性・可撤性補綴物の複雑な工程を標準簡素化することができます。

またインプラントと天然歯のコンビネーションケースの上部構造にテレスコープシステムを応用することは大変有効であり、可撤できることで、修理ができるため、長く患者様の口腔内で機能させることが可能になります。 

Double Crowns 二重冠の種類には、

Telescopic crown

Conus crown

Hybrid crown

がありますが、Weber教授はHybrid CrownのDouble Crownsにフリクションピンを応用するテレスコープを好んで行われていました。

やはりドイツでも金属、テレスコープに使用するGoldの高騰によりSpark erosion 放電加工の技術が普及しています。

コバルトクロムは、鋳造加工が非常に難しい金属ですが、放電加工技術の進歩により大変精密な製作ができるようになりました。

歯科界の大きな革命と言っても過言ではありません。 

このテクノロジーは実践上難しくなく、非貴金属合金の応用であり、大変有益な結果を得ています。

Weber教授からのメッセージです。

「今回の講演は、補綴初心者にも、何が実践できるか。その上のレベルではどんなことができるのか、という視点を持つことが大切です。そして、経験を積んだ補綴家の先生方にも、ご自身の患者様に対して、最先端技術をどのようにして臨床応用に変えていくことができるのか、というヒントになったと思うので、ぜひ実践していただきたいと思います。」 

今回の講演は2時間を予定していましたが、Weber教授が準備してくださった資料は5時間分でした。

なんとか2時間半まで延長させていただきましたが、その膨大な資料と症例に驚かされました。 

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最後に、今回座長を務めてくださった、林昌二先生、昨年ISOIでお知り合いになったことを機会に、IPSGで講演もしてくださいました。

今後、また林先生には『放電加工』そして『パラレルテレスコープ』について更に詳しく教えて頂きたいと思います。

IPSG20周年特別講演会に、ドイツにおける補綴歯科医学会トップの教授にいらしていただくことができ、大変光栄に思います。  

Weber教授の数々のテレスコープ症例、そしてその膨大な知識、先生方にとって、第3の選択肢に触れる素晴らしい機会となったと思います。

沢山の先生方ご参加いただき、心より感謝させて頂きたいと思います。

そして今回の20周年を支えてくださった先生方をはじめ、関係者の方々、本当にありがとうございました☆

この20周年を機会に、出会う事ができた先生方、ぜひこれからも、IPSGをよろしくお願いいたします♪


稲葉歯科医院、院長の稲葉由里子です。

顧問の稲葉繁が代表を務める、IPSG包括歯科医療研究会が20周年を迎えるにあたり、

『ドイツ最先端義歯とインプラントの融合』

というテーマで、ドイツチュービンゲン大学からProf.Dr.H.Weberをお迎えし、開催されたので、

ご報告させて頂きたいと思います。

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一般社団法人IPSG包括歯科医療研究会 代表 稲葉繁先生

『ヨーロッパから学んだ私の臨床』

稲葉先生は1964年に日本歯科大学を卒業、歯科医師となりました。

その後補綴学を選考し1968年東京オリンピックの年に大学院を修了、歯学博士となり、研究、教育、臨床の道に入りました。   

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最初に学んだテーマは咬合でした。

特にナソロジーに興味をもち、スチュアート、P.Kトーマス、ジャンケルソン、ラウリッツェン、ギシェーなど主にアメリカの臨床家から影響を受けました。 

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稲葉先生の臨床は咬合を基本とした顎関節症の治療、テレスコープを用いたパーシャルデンチャー、そして上下顎同時印象法による、デンチャースペースを再現する総義歯が基本となっています。

こちらの写真は、アイヒナーの分類で有名な、アイヒナー先生です。  

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Weber教授もよく知っている有名な先生の名前がでてきて、とても興味深そうに話を聞いてくださっていました。

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1970年代、アメリカで中心位の定義が疑問視され、ナソロジーが見直されてきた時期に、ヨーロッパで顎関節症の診断治療をシステム化しているチュービンゲン大学歯学部のシュルテ教授の講義を受けたいと考えていました。

その後、チュービンゲン大学歯学部補綴科の客員教授として、顎関節症とテレスコープシステムを学ぶチャンスを得ました。

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当時スチュアートの咬合器を扱えるのが稲葉先生だけだったことから、信頼を得ることができたといいます。

講演では、顎関節症の患者様、クローズドロックのマニュピレーションの方法を動画で説明させていただき、とてもわかりやすかったと思います。  

1978年から1年半に渡り、咬合と筋機能療法を基本にしたシュルテ教授の顎関節症の治療は、その後の臨床に大きな影響を受けました。 

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さらに、1978年の夏リヒテンシュタインのイボクラーで開催していた、イボクラー社のデンチャーシステムの研修を受講し、シュライヒ先生と知遇を得、現在の最終印象における上下顎同時印象の開発に至りました。

上下顎同時印象による総義歯製作方法もすべて動画でご覧頂きました☆ 

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そして、チュービンゲン大学で学んだ、リーゲル、コーヌス、レジリエンツなどのテレスコープシステムは現在の稲葉先生の臨床の基本になっていることをお伝えしました。

すでに、30年以上経過症例を多数持っていますが、大切なのは、沢山の引き出しを持つこと。

どのような状態でも対応、応用できる技術を、これまでIPSGを通じて先生方に広めて参りました。

『ドイツ最先端義歯とインプラントの融合』は、インプラントとのコンビネーションも可能となり、テレスコープシステムはこれからの日本の歯科治療に求められる、非常に大切な技術だということを先生方にお伝えさせて頂きました。

3つのテーマを動画を織り交ぜお伝えさせていただいた講演はとてもわかりやすかったと思います。

Weber教授も、稲葉先生が広められている技術はとても価値があり、大切な技術なので、バックアップしていきたいとお話をいただきました(^_^) 

IPSGでは来年の春、ドイツで開催される、世界で一番大きなデンタルショーIDSの時期に、チュービンゲン大学を訪問する企画を立てる予定ですが、Weber教授は、その際、出来る限りの情報を先生方にお伝えしたいとおっしゃっていただきました。

今後も、IPSGを通じてドイツの歯科技術を啓蒙していきたいと思います。

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稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子 顧問 稲葉繁

稲葉歯科医院
院長 稲葉由里子

昭和44年に父、稲葉繁(現・顧問)が文京区伝通院で稲葉歯科医院を開業、平成11年に場所を移して秋葉原で新しく開業しました。

「入れ歯が合わず、食べたいものが食べられない」
「口を開けると金属のバネが見えるのがいやだ」
「うまく発音できないので、しゃべるのがおっくう・・・」

このような入れ歯のお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか。

当院では、入れ歯の本場ドイツで直接学んだ技術を活かし、つけていることを忘れるくらい、自分の歯のように何でも噛めて、笑顔に自信がもてる入れ歯を作っております。

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