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2012年3月28日

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2012年3月18日、KaVo Dental Systems Japan にて『顎関節症の臨床と治療』セミナーが開催されたのでご報告させていただきたいと思います☆

 

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稲葉先生が顎関節症の知識を深めるために、ドイツ、チュービンゲン大学への留学を決意したのは、当時チュービンゲン大学口腔外科教授のProf.W Schlteの論文に出会ったからです。

ヨーロッパ、特にドイツでは顎関節症の研究が大変進んでいて、特に咬合との密接な関係について、具体的に研究が進んでいました。

Prof.W Schlteの論文は442名の患者さんを詳細に分析し、診断から治療法をシステム化したもので、ほとんどの患者様がこのパターンに当てはまると言います。

現在、顎関節症と咬合が関係ないという風潮もありますが、咬合を一度でもきちんと勉強をした人は決してそのように思わないはずです。

稲葉先生の顎関節症の研究に携わってきた歴史についても詳しく説明がありました。

今は聞くことができない、世界の咬合の巨匠から直接講義を一次情報で得ています。

 

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こちらは、Guichet、ギシェー先生です。
 
ギシェー先生の講義はもう二度と聞くことはできません。
 
他にも、P.K.Thomas・C.E.Stuart・Prof.Richter・D.Beach・N.Guichet ・Jankelson  ・Raulitzen ・Croh.Pohlsen・E.Koerber ・Eichner ・W.Schlte・H.Shleich・P.Kopp ・ C.Sieber ・Pfannenstiel ・Lehman ・R.Slavicek ・Lotzmann
 
の講義を直接受けてきました。
 
中には、教科書でしか学ぶことができない先生もたくさんいます。
 
稲葉先生の顎関節症の歴史は、これらの先生の集大成とも言えるでしょう。
 
ひとつひとつのスライドにたくさんの価値がありました。

 
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先生方、ひとつでも見逃さないように、瞬きもしない勢いで講義を受けていらっしゃいました。

先生方が真剣に勉強する姿勢をみて、本当に素晴らしいと感じました。

このような話は他では決して聞けない内容です。 

特に、今回は新しい症例も沢山ありました。

セミナーの模様はすべてDVDに収録してあります。

特にマニピュレーションの動画など、稲葉先生から直接データをもらいますので、DVDで何度も復習することができます。

参加された先生はもちろんの事、残念ながらご参加いただけなかった先生方にも今後、このセミナーを臨床に生かしていただくための大切な資料になると思います。

 

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最近の歯科界の風潮は、どうしても歯と歯茎ばかりをみていて、全体をみることができていないと感じます。

「食物摂取系、顎口腔系の健康を維持するために我々はいる」

という稲葉先生の言葉が、とても大事なことに聞こえました。

そして、現在、顎関節症の原因が、心理的要因やストレスからくると思われています。

本当にそうなのでしょうか?

稲葉先生は、精神的に追い込まれる前に肉体的な原因を取り除いてあげないといけない。

と強く言っていました。 

顎関節症に悩んでいらっしゃる患者様の声は、考えさせられるものがありました。

ストレスが原因と言われ続けることで、精神的にも追い込まれてしまっています。

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クローズドロックの症例も1症例だけでなく、数症例お見せしたので、より深く学ぶことができました。

動画はウソをつきません。

何よりの証拠だと思います。

咬合器に付着しないで模型を手で合わせているだけでは、何もわかりません。

そんなに咬合診断はラフなことではないということ、咬合の奥深さを痛感して頂けたと思います。

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そして、顎関節の解剖です。

これも、関節円板のパーフォレーションや、クリック音が鳴るメカニズムを動画でみていただきました。

顎関節の解剖の動画・・・・はかなり貴重なものです。

 

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顎関節症の患者様の初診から治療まで、こちらも動画でみていただきました。

精神的な不安から治療後の解放まで、私たちもまるでその場にいるかのような気持ちになりました。

患者様がとてもかわいらしい方だったので、場が和みました^_^

 

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稲葉先生の中心位です。

常に顎関節を意識させます。


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KaVoのディグマは顎の動きを3Dでとらえることができるため、非常に有効ですし、患者様への説明にも使うことができます。

 

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あっという間に時間が過ぎてしまい、一日では足りないぐらいのボリュームでした☆

今回参加させていただいた先生方に『美しい表情は噛み合わせから』 という小冊子もプレゼントさせていただきました。

ぜひ、スタッフの方と一緒に勉強していただき、患者様のために役立てていただきたいと思います。

ご参加いただいた先生方、本当にありがとうございました。

また、場所を提供していただいていた、 KaVo Dental Systems Japan の皆様にも、心よりお礼申し上げます (*^_^*)

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先生方から熱い感想をいただきましたので、ご紹介させていただきます。

◆顎関節症とは?顎関節症はなぜおきるのか?根本的な質問の答えがここにあります。お宝の山です。

◆大学で永年教えられていただけに開業医にはないアカデミックさと、大学には少ない優れた臨床的手技を合わせもった素晴らしい先生に教わることができ幸せです。また出来ることと、やっていいことなどを見事に嵯別されているなと思いました。

◆感動しました。今まで学んだ知識がいい加減なものとして感じました。最後の義歯の症例も通常は対処しようとすらしないと思います。今後勉強させて頂きます。

◆治療の重要事項が再確認でき大変有意義なセミナーでした。沢山の質問に解答頂きありがとうございました。

◆2回目の参加ですが、以前わからなかったことも理解できて新しいことも多く学べ有意義でした。症例の動画がたくさん見れてわかりやすかったです。

◆何度聞いても日々勉強になります。日本での歯科治療がこのように学問的で楽しくなればと本当に思います。ありがとうございました。

◆顎関節症を得意分野にできると今後の歯科医師人生でかなりの武器となると思います。一度で全て理解できるとは思っていませんので何度でも講習に参加し、ひとつひとつ自分のものに出来るようがんばろうと思います。よろしくお願いします。

◆セミナー会場も素晴らしく、セミナーの質までアップグレードしたように感じられます。参加受講生の真剣さが伝わってきてすばらしいセミナーでした。以前受けたセミナーとは説明方法も変わって再受講して本当に良かったと感じました。

◆今回のセミナーもとてもわかりやすく、すぐ臨床で役立つものばかりでした。咬合器につけて診断する事の重要さが理解でき、今までの無知と無力を痛感しました。有難うございました。

◆開咬症例のアンテリアガイダンスの与え方。プロビショナルとファイナル。内側転位(内側への外れ)は円板が乗りにくいと思うのですが?乗りにくい場合の 乗せ方の工夫などありますか?ピボット型スプリントについて詳しく知りたい。あまり詳細を載せている本がありません。日本の教育を受けてきた人間には既存 の分類の中に落とし込むのが理解がすすみやすいです。最後の質疑応答でなんとなく理解がすすみましたが、まとめて頂けないでしょうか。

◆咬合診断できないと治療ができないことを改めて認識しました。プロター咬合器やディグマのリン量での活用をどうされているかを知ることが出来ました。一日も早く使いこなせるよう勉強していきたいと思います。

◆もう一度ライブ実習コースを受けて見たいと思います。(今年は無理なので来年受けます)

◆頭の再整理ができて良かったです。

◆患者さんを治療するビデオをみて、是非患者さんにしてあげたいと思いました。

◆非常に勉強になりました。ギャグも楽しかったです。

◆全部がすごすぎてたくさん印象に残りました。特に顎関節症が本当に治せるんだということが嬉しい。ロールワッテを用いたクローズドロックの解除を明日からやってみます。稲葉先生はすごすぎる。

◆基本にもどりもう一度咬合器の使い方。中心位の記録、顆路角の調整を勉強したい。(中心位と中心顎位との関連(一致)についての咬調)

◆2年ぶりに受講しましたが、初めて見たスライドも多く大変勉強になりました。咬合診断の重要性を改めて感じました。

◆自分は咬合器にもつけないでフェイスボーもしてなくて全くダメだと再認識しました。咬合調整もお話が聞けて良かったです。有難うございました。

◆顎関節治療について再度認識できて良かったです。レジリエンツテストや、プロボケーションテストやクローズドロックの開け方など細かい部分が自分の理解と違っていたことがあって再確認できたのがよかった。

◆スライドや動画が多く、イメージしにくい3次元の顎関節がとてもよくイメージできました。

◆少しの咬合調整であんなに体全体の様子が変わったのに感動しました。

◆一日では短すぎるほど内容が多く、もっと色々と教わりたいと思います。

 

 

2012年3月12日

こんにちは。

IPSG事務局、稲葉由里子です。

2012年2月11,12日、 『パーシャルデンチャーの設計と製作実習コース』がKAVOセミナールームで開催されましたので、ご報告させていただきます☆

 

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「パーシャルデンチャーの修復に際し、必要な知識と技術はクラウンブリッジの要素から総義歯の要素まで必要です。パーシャルデンチャーは総義歯になるための移行義歯では決してありません。」

「インプラントがあるから、パーシャルデンチャーは必要ないという人、じゃまだったら抜いてインプラントにすればいいと言う人もいます。本当にそうでしょうか?あまりにも無知すぎます。皆さんにはパーシャルデンチャーの正しい知識を身につけてほしいです。」

と最初に話がありました。

ドイツの歯科大学では、パーシャルデンチャーの設計を教授の前で、発表したり、お互いが言い合ったりという時間が当たり前に授業の中にあります。
自分で考えた設計に対して教授を含めてみんなで議論するそうです。

日本では、国家試験のための問題をマークシート方式で丸覚えのため、日本ではパーシャルデンチャーの知識がとても欠けてしまっています。

 
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8020の達成の鍵はパーシャルデンチャーです。

現実は85歳で6割が総義歯ということは、私たち歯科医師の存在価値を疑われてしまいます。

まずは、歯が抜けるのは老化現象ではないということを理解して頂きたいと思います。

患者様の現在ある歯をいかに長持ちさせることができるかということに集中して設計をしないといけません。

欠損を埋めるだけがパーシャルデンチャーではありません。

クラスプが曲者です。

レストの付属品がクラスプなので、最初にレストの設計をします。

クラスプは義歯が外れないためのものと考えてください。

支持と維持の認識が大切です。

と話がありました。

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IPSG副会長の岩田光司先生からも実際の症例をまじえて講義がありました。

岩田先生は、患者様にわかりやすく説明するのがとても上手です。

たくさんの症例をみさせていただきました☆

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パーシャルデンチャーの設計で大切な事は全身から診断する。

すなわち三次元的に基準面を揃えることが大切です。

クラスプは歯を傾斜移動させて、揺らしてしまいますが、テレスコープは歯体移動のため、歯の歯軸方向に力が加わるため、歯牙を動揺させません。

ということで、テレスコープについてもたくさんの話がありました。

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ラボ・インテック代表の高木先生のデモンストレーションの様子です。

レジリエンツテレスコープ、コーヌステレスコープの作り方を実際に先生方にみていただきました☆

コーヌステレスコープも設計を間違えると歯根破折を起こします。
失活歯を維持に使うとだいたいが割れてしまいます。

そういうこともすべて考慮して設計するので、一つ一つの症例に真剣に取り組む必要があります。

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そして、色々な欠損症例の模型を使って、シュパルテ、トーションバー、リンガルバー、金属床の設計をしました。

インプラントとテレスコープのコンビネーションについても、

遊離端の義歯のアンカーとして使用することによって粘膜の沈み込みがおさえられ、(遊離端義歯は、0.3から0.5㎜の沈み込みをします)義歯が確実に安定し、骨吸収を抑えることができるので、非常に有効だという説明もありました。

参加いただいた先生方から、本当にたくさんのご質問をいただき、内容が濃く、充実した時間でした。

先生方から感想を一部ご紹介いたします☆

☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。

◆学校で教わっただけでなんとなくになっていた義歯の設計を総復習でき、なおかつ新しい技術についても習うことが出来たので自分としては驚きの連続でした。是非明日からの臨床で活かしたいです。

◆設計の手順、積杯線といった大切な話を改めて聞くことができてとても楽しく勉強になりました。学ぶことの楽しさ、大切さを改めて感じることが出来ました。有難うございました。

◆患者さんの歯、健康を守る方法見つかったという感じです。

◆設計の話で大連結子の形、支台歯の数などよくわかりました。

◆テレスコープについては知識ゼロでしたので正しいテレスコープを学ぶことができて本当に有意義でした。今日も学んだことを何度も復習したいと思います。

◆もっと深く学ばなければならない内容が多いとつくづく感じました。リーゲルの作製法などは技工士さんの教育も必要だと感じました。

◆パーシャルデンチャーはクラスプとパラタルバー(リンガルバー)だけしか知らなかった。
メジャーコネクタに種類があること自体知らなかった。トーションバー、シュパルテなど初めて習った。

◆自分が今までやってきたことを検証する意味で非常に役に立っています。方向性は間違っていなかったと思いますが手段や方法が違っていました。基本は「自 分の患者さんを守る」ということを考えていきたいと思います。資料やステップ毎の進め方などもっと詳しく教えて頂ければと思います。

◆今日も目からウロコの話ばかりだった。設計に関してすごく勉強になりましたがテレスコープを始めるにあたり技工の問題など不安があります。飯塚先生から明日からやれと言われたことを頑張ります。有難うございました。

◆トピックスの連発ではなく、いつもながらどっしりとした王道に触れることが出来ました。

☆。,・~~・,。★。,・~~・,。☆。,・~~・,。★。 

ご参加いただいた先生方、2日間、本当にありがとうございました。

また、会場を提供いただいた、カボ・デンタルシステムズ・ジャパン のスタッフの皆様にもお礼申し上げます。

バレンタインデーが近かったこともあり、こんなおもしろいチョコレートを皆さんにプレゼントしてくださいました☆♪うれしかったです(^_-)-☆

 

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IPSG事務局、稲葉由里子です。

先日開催されたセミナーのご報告をさせていただきたいと思います。

2012年2月26日、「リーゲルテレスコープのアニメーション」と、稲葉繁著書「予防補綴に最適なテレスコープシステムの臨床」、石原明先生の「成約率 UPの方法解説DVD&テキストマニュアル」それに加え「リーゲルテレスコープセミナー」 4つをセットにしたセミナーが開催されました。

全国各地から50名もの先生に参加していただき、お陰様で、会場は満員でした☆

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当日はIPSG顧問の石原明先生の特別講演がありました。

稲葉先生の技術に加えて、石原先生のマーケティングのお話しがあり、とてもバランスのよいセミナーだったと思います。

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最初に稲葉先生の長期症例、30年以上経過している患者様の初診時、そして30年後のテレスコープの写真がでてきました。

30年以上の初診時の写真をきちんと保存しているということがとてもすごいことだと思いました。

記録しておくことの重要性を痛感しました。

テレスコープシステムで治療したすべての患者様が30年以上使っていただいているという保証は必ずしもありませんが、歯の状態やバランスが良いと、しばしばこのような症例に出会うことがあります。

今回は典型的なドイツのテレスコープ、リーゲルテレスコープについて詳しく説明がありました。

リーゲルテレスコープは一時期のコーヌスクローネの陰に隠れて、日本では用いられることが少ないテレスコープです。

稲葉先生がドイツに留学した当時、文献でも見た事のない、リーゲルテレスコープに大変びっくりしたこと、そして補綴をすることで長持ちをさせる方法をはじめて知ったことなど、話がありました。

患者様の満足度は高く、素晴らしい治療方法なので、ぜひ覚えていただきたいと思います。

ドイツにはたくさんの種類のアタッチメントがありますが、その中でもリーゲルテレスコープは大変頑丈で、審美的にも機能的にも優れている方法です。

回転リーゲル(ドレーリーゲル)、旋回リーゲル(シュベンクリーゲル)の二つを覚えていただければほとんどの症例をカバーすることができます。

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ドイツ人は一度作ると、修理をしながら長く使うという国民性があります。

それは義歯でも同じです。

ひとつのものを患者様に長く使っていただけるということを経験してみて、それは患者様にとって心理面でも非常に信頼感を得るということがわかりました。

30年が経過し、装着感、オクルージョンに狂いがないと、患者様は

「当時は高い治療でしたが、今考えると、とても安かった。」

と口を揃えておっしゃいます。

ドイツの補綴は見えないところまでがっちり作ってあります。

可撤式というのは私たち歯科医師にとって余裕を生みます。

固定式はセラミックが破折したら、天国から地獄です(>_<)

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そして、ひとつの症例の中から先生方に感じていただきたいと思います。

この方は、学校給食に勤めていました。

3年間歯医者さんに通って、これで、治療が終了したそうです。

ごらんの通り、口の中は金パラだらけ。

私たちの目がこの状態に慣れすぎてしまっています。

定年退職した自分へのご褒美として、全顎リーゲルテレスコープで治療をされました。

患者様が求めるのであれば私たちはそれに答える必要があると思います。

治療のゴールは天然歯の戻す事、他人に治療の後をさとられないようにすることです。 

審美歯科は特別のことではなく、当たり前の事です。

テレスコープであっても、審美の分析、歯軸の方向や形を考慮することは非常に大切です。

その後、リーゲルテレスコープ、コーヌステレスコープの詳しい製作法などを先生方にお伝えしました。

今、一番問題なのは、テレスコープシステムを製作することができる技工士が非常に少ないことです。

日本の技工士が育たないのは歯科医師の責任が大きいです。

海外で名を馳せた、素晴らしい技工士の先生も沢山いらっしゃるのに、それが全然生かされていません。

IPSGでは、テレスコープシステムのセミナーを技工士の先生方に向けて開くことも考えています。

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その後、先生方からの沢山の質問をいただきました。

今回初めて参加される方、そして何十年かぶりに改めて参加される方など様々でした。

先生方の熱意をとても感じ、うれしく思いました☆

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そして、IPSG顧問の石原明先生の特別講演です。

石原先生は、稲葉歯科医院のお世話をしてくださっているのですが、昨年の暮れから、IPSGの顧問として、会全体をまとめてくださっています。

稲葉先生の専門的な技術に加え、石原先生のマーケティングを学ぶことで、 先生方が豊かな経営をして、患者様に質の良い治療を提供できるようなアドバイスをいただいています。

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石原先生は、経営コンサルタントではありますが、歯科専門というわけではいので、この業界を外から観察することができます。

業界にいると勢いでみんな同じ方向に行ってしまうことが多いといいます。

いつも聞いていておもしろいな、と感じるのは、他の人が右に行ってる時は左に、左に行っている時は右にいきましょう^_^とおっしゃるところです。

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ビジネスをする上で、おもしろいマーケットというのは誰かが何かをすることで、結果的に生まれてしまうマーケットで、それに対してサービスをすると、すごく儲かるというお話しがありました。

例えば、携帯電話が売れることで、携帯ストラップが売れるということです。

歯科においても同じようなマーケットがあります。

インプラント治療が主流となっている傍ら、インプラントが怖くてできないという患者様がいらっしゃいます。

そして、保険治療でまわしているせいで、噛み合わせが置いて行かれてしまい、結果、顎関節症になってしまう患者様が激増しています。

IPSGは、テレスコープシステム、そして噛み合わせ、顎関節症を得意としています。

誰かが何かをすることで生まれるマーケットにIPSGが得意とすることはぴったり当てはまるというお話しがありました。

確かに・・・意識していたわけではありませんでしたが、IPSGでやっていることは今まで王道から外れず、マイペースだったのがよかったのかもしれません。

家族の次に大切なのは患者様です。

患者様の健康を守るには、やはりコツコツと勉強することが大切です。

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稲葉先生も、そうだそうだと真剣に聞いていました^_^

そして、IPSGの会員数を250名までにすること。

インプラントの様に何千人もの先生が同じ治療をすると、マーケットが壊れてしまうとおっしゃっていました。

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質疑応答もたくさんの先生方から質問をいただきました。

今回残念ながら参加できなかった先生もいらっしゃると思います。

セミナーの内容はDVDとして後日販売する予定なので、ぜひ楽しみに待っていてくださいね☆

本当に全国各地からたくさんの先生方にお集まりいただき、ありがとうございました。

今回のセミナーの感想の中で多かったのは、リーゲルテレスコープのセミナーは基礎コース、応用コース、実習コース、フォローアップセミナーのようないくつかに分けたコースを開催してほしいとのことでした。

もう一つ、テレスコープができる技工士を紹介してほしいという声も聞かれたので、リストを作成したいと思います。

『技工に関してのお話しが多く、正直、すごく難しい手法のような印象を受けました。でも由里子先生のお話しを聞いて、少しほっとしました。』

という感想もいただきました(笑)

確かに、インプラントも最初にセミナーを受けた時は、すごく難しい手法だと思われるはずです。

それが毎日インプラントをすることで、やさしくなり、簡単に医院に取り入れることができます。

テレスコープシステムも同じです。

確かに難易度が高い治療だと思いますが、自分の医院に取り入れて治療をしていくうちに、やさしくなっていくと思います。

インプラントでもテレスコープでも、どの歯科治療をするのにも必要な知識は、咬合、咬合器の操作、中心位の採得などです。

ぜひ、IPSGで包括的に学んでいただきたいと思います。

 

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稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子 顧問 稲葉繁

稲葉歯科医院
院長 稲葉由里子

昭和44年に父、稲葉繁(現・顧問)が文京区伝通院で稲葉歯科医院を開業、平成11年に場所を移して秋葉原で新しく開業しました。

「入れ歯が合わず、食べたいものが食べられない」
「口を開けると金属のバネが見えるのがいやだ」
「うまく発音できないので、しゃべるのがおっくう・・・」

このような入れ歯のお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか。

当院では、入れ歯の本場ドイツで直接学んだ技術を活かし、つけていることを忘れるくらい、自分の歯のように何でも噛めて、笑顔に自信がもてる入れ歯を作っております。

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