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2015年2月 2日

『稲葉式コーヌスクローネ』とは


最近、歯科の雑誌で、頻繁にドイツで開発された入れ歯、テレスコープシステムが取り上げられています。

確実に、稲葉繁先生が代表を務める、IPSG20周年記念特別講演会の効果だと感じます。

コーヌスクローネは、1980年代当時、爆発的に流行りました。
しかし10年間位で下火になってしまいました。
色々なトラブルが生じてしまい、その評価を落としてしまったからです。

トラブルの原因は、入れ歯の設計、製作方法、使用金属、
適応症等が統一されていなかったためだと思われます。

結果、コーヌスクローネは、次第に使われなくなってしまいました。

その、コーヌスクローネが最近見直されているようです。

ですが、よく読んでいると、相変わらず間違った情報が多いように感じます。

稲葉先生は、本場ドイツで直接コーヌスクローネを学びました。

Karlheinz Koerber教授のKonuskronen,コーヌスクローネの原書。
もちろんドイツ語で書かれているのですが、稲葉先生がボロボロになるまで読んだコーヌスクローネの教科書です。

コーヌスクローネの設計、製作法、適応症、禁忌症、解決法などが、
沢山の事がこの一冊に書かれています。

原書の内容と、日本で広まりつつある内容に食い違いがあるのです。

コーヌスクローネは、沢山のルール、製作法があってはじめて成功するものであって、
自己流で製作するものではありません。

とはいえども・・・

なかなか食止める事ができません。

稲葉先生はコーヌスクローネの本場ドイツで一次情報を得て、原書通りの治療方法でこれまで、素晴らしい結果を得ています。

『稲葉式コーヌスクローネ』

として、日本で広まっている他のコーヌスクローネと分けて、原書通り、正当派コーヌスクローネを守っていきたいと思っています。

まず、1980年代臨床家の間に広まったコーヌスクローネが評判を落としてしまったのか。

また、正しいコーヌスクローネとはどのようなものかを稲葉繁が詳しくお伝えさせていただきたいと思います。

▼目次
1.テレスコープシステムの歴史とコーヌスクローネへの誤解

2.ドイツでのコーヌスクローネの扱われ方

3.日本でのコーヌスクローネの扱われ方

4.今後のコーヌスクローネの活用方法

1.テレスコープシステムの歴史とコーヌスクローネへの誤解
  
日本ではコーヌスクローネしか知られていませんが、ドイツには様々なテレスコープシステムがあります。コーヌスクローネの間違った方法が広まってしまったためにテレスコープ全体の評判を落としてしまうことは大変残念な事です。

1980年代、コーヌスクローネの本が翻訳され、一部の先生方により爆発的に流行りました。

しかし10年間位で下火になってしまいました。色々なトラブルが生じてしまい、その評価を落としてしまったからです。トラブルの原因は入れ歯の設計、製作方法、使用金属、適応症等が統一されていなかったためだと思われます。

結果、コーヌスクローネは、次第に使われなくなってしまいました。
2.ドイツでのコーヌスクローネの扱われ方
 
ドイツでは、コーヌスクローネはテレスコープシステムの中の一つで、特別な方法ではありませんでした。
私は、コーヌスクローネは勿論の事、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープ、アンカーバンドテレスコープ等様々なテレスコープシステムを使い、ほとんどすべて、様々なケースの症例をカバーすることができることを知りました。

特にリーゲルテレスコープは応用範囲が広く、回転リーゲル、旋回リーゲルを使っていました。これらのテレスコープシステムによる臨床を実際にドイツで経験する事が出来ました。
その事が現在までの私の臨床の基本になっています。
3.日本でのコーヌスクローネの扱われ方
 
1980年に帰国をしてみるとコーヌスクラウンという名前で一般の臨床家の間で広まりつつありましたが、実際にドイツで行っている臨床と製作システムが大きく異なっていました。
使用金属は金銀パラジウム合金が使用されていて、ドイツで使用していた、ゴールドとは似ても似つかないものでした。私がドイツで、学んだ方法とは全く違っていたのです。

金銀パラジウム合金は長期使用で、精度が狂います。そこで正しい「コーヌスクローネ」を広めなければならないと考え、松風カラーアトラスに「コーヌスクローネ」と「リーゲルテレスコープ」を出版しました。

特に大きな違いは、日本の指導者は削る量が多いので歯の神経を抜くように指導していたことです。歯の神経を抜く事がトラブルの原因となり、歯が割れ、コーヌスクローネの評判を大きく落としてしまいました。ドイツでは、コーヌスの支台歯には原則として神経のある歯を使わなければならないということでしたが、日本では全く逆でした。

さらに、歯を守るためには入れ歯の設計の基本を知らなければなりませんが、殆ど知られていませんでした。
特にコンビネーションのケースに使われる「トーションバー」や「シュパルテ」という歯の破折を防止する床の設計は知られておらず、歯の破折を防止する対策が全くなされていませんでした。

その様なことが重なり、コーヌスクローネで治療する先生が少なくなってしまいました。
4.今後のコーヌスクローネの活用方法
一方で、正しい方法で行われたコーヌスクローネは、多くの症例で30年以上の経過を保っており、患者様に大変喜ばれております。
私は、ドイツのチュービンゲン大学に客員教授としてE.ケルバー教授のもとに滞在している時に、幸いな事に多くのテレスコープを経験し、一次情報を得てきました。

臨床で使われるテレスコープシステムはコーヌスクローネだけではありませんので、リーゲルテレスコープ、レジリエンツテレスコープ等を適材適所に使い、臨床の幅を広げていただきたいと思っています。さらに最近ではインプラントとの併用によりさらに良い結果が得られていますので将来に期待したいと思っています。

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当時稲葉先生が出版した
『正統派コーヌスクローネ』が冊子になりました!
オクルーザルコアの使用、コーヌスのミリングマシーン、正しい印象法、セット方法など、詳しく正しい方法で書かれています。
コーヌスクローネの基本的な設計は、すべてのパーシャルデンチャーに応用することができます。

他では入手することができない一冊、ぜひお手に取って頂けたら幸いです。
(歯科医師対象)



⇒書籍の詳細はこちらから

2010年2月25日

コーヌスクローネという入れ歯について

Q.65歳の母の入れ歯の件で質問です。保険の入れ歯に馴染めないまま5年が過ぎ、今回コーヌスクローネという入れ歯を検討しています。下の歯のブリッジは放ったままの状態、上の総入れ歯は外出時のみ付けるという生活でした。痛みや話しにくさ、噛みにくさがあるようです。
今回入れ歯に精通した歯医者さんを探し、相談してみたところ、下の歯は4本残すことが出来、コーヌスクローネの入れ歯の選択もあると言われました。できるだけ納得して決めたいので、ご意見がいただけたらと思います。
1)コーヌスクローネの入れ歯が、保険の入れ歯に比べて装着感の良い物か。どの点で違いがあるのか。
(保険の歯で馴染めない人でも、コーヌスクローネの入れ歯なら使える人が多いのか)
2)長期間使える物なのか、保険の入れ歯と比べてどうか。
3)現在の歯医者さんは、もしお金をかけるとしても、上の総入れ歯は保険で作り、下は、利用できる歯を利用してコーヌスクローネで作るのはどうか?と言われています。両者にかける値段が随分違いますが、大丈夫でしょうか。

A. お答えします

まず、コーヌスクローネという入れ歯を聞きなれない方がほとんどだと思いますのでどのような入れ歯かお伝えしたいと思います。

コーヌスクローネはドイツで開発された入れ歯です。テレスコープシステムというたくさんの種類の入れ歯のひとつで、100年以上もの歴史があります。

コーヌスとは円錐形の意味で、歯に直接接着させる内冠と入れ歯の本体、外冠により構成されています。(二重に被せる方法)

内冠は円錐形で角度は6度(コーヌス角)、維持力は内冠、外冠のくさび力によります。
同じ形の紙コップを重ねると、ぴったりくっついて離れなる現象をイメージして頂けるとわかりやすいかもしれません。
装着の最後で内冠と外冠がすっとはまると、はずれなくなります。

この角度は歯の状態により調整することができます。

はずし方は入れ歯に指がかかるくぼみを作っておいて、それを持ち上げるとはずれます。

日常の生活でははずれてしまうことはまずありません。
基本的にコーヌステレスコープは神経のない歯には適応ではありません。というのは維持力が直接歯にかかるため、入れ歯の取り外しのときに神経のない弱い歯だと、土台ごと抜けてしまう危険性があるからです。
また、歯の残っている場所によっては禁忌症もあるので、しっかりとした診査、診断、治療計画が必須です。

適応を間違わなければ何十年も使える優れた入れ歯です。

それでは質問にひとつずつお答えします。

コーヌスクローネの入れ歯が、保険の入れ歯に比べて装着感の良い物か。どの点で違いがあるのか。
(保険の歯で馴染めない人でも、コーヌスクローネの入れ歯なら使える人が多いのか)

保険の入れ歯との装着感は全く違います。通常4本の歯が残っていると、日本の保険で作られる入れ歯はクラスプという金属のバネをつかったものです。
クラスプと歯は密着していますが、接着はしていません。そのため入れ歯が動きます。

入れ歯が口の中で動くと気になり異物感があります。
それに比べて、コーヌスクローネは内冠、外冠のくさび力でしっかり固定されるため、口の中で入れ歯が動くことがありません。そのため、保険の入れ歯に馴染めない方でもしっかり自分の体の一部として使うことができます。

◆長期間使える物なのか、保険の入れ歯と比べてどうか。

保険の入れ歯はバネをかけている歯が抜けてしまうとすべて作り直しが必要です。日本では合わなかったり壊れたりすると何度もつくりなおしをしますが、
このドイツの入れ歯は一度作ったら、修理しながらずっと使うことが可能です。長期間使うための入れ歯といってもいいでしょう。

◆現在の歯医者さんは、もしお金をかけるとしても、上の総入れ歯は保険で作り、下は、利用できる歯を利用してコーヌスクローネで作るのはどうか?と言われています。両者にかける値段が随分違いますが、大丈夫でしょうか。

せっかく下の歯をしっかり治すのであれば、上もそれに合ったものでなければ意味がありません。

上下の歯は対になっています。

下の歯がいくら丈夫でしっかりしていても、上の入れ歯が落ちてくるようなものなら食事もできないし、しゃべることもできません。

材質も全く違います。コーヌスクローネに使用される人工の歯はDr.Strack設計の機能的で美しさも兼ね備えたものです。 患者様の肌の色、顔の輪郭、などを参考にして選択します。

保険の入れ歯の人工の歯は、とてもやわらかいプラスチックです。

上の入れ歯を保険、下の入れ歯をコーヌスクローネとなると、別々の技工所で製作するため、完成して合わせるのが非常に難しくなります。

コーヌスクローネに合った入れ歯を同じ材質で、咬合器(かみ合わせの器械)を使用して作ることをおすすめします。

コーヌスクローネ
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稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子 顧問 稲葉繁

稲葉歯科医院
院長 稲葉由里子

昭和44年に父、稲葉繁(現・顧問)が文京区伝通院で稲葉歯科医院を開業、平成11年に場所を移して秋葉原で新しく開業しました。

「入れ歯が合わず、食べたいものが食べられない」
「口を開けると金属のバネが見えるのがいやだ」
「うまく発音できないので、しゃべるのがおっくう・・・」

このような入れ歯のお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか。

当院では、入れ歯の本場ドイツで直接学んだ技術を活かし、つけていることを忘れるくらい、自分の歯のように何でも噛めて、笑顔に自信がもてる入れ歯を作っております。

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