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2013年2月26日

摂食嚥下訓練器具『ラビリントレーナー』について【その2】

◆ラビリントレーナー発案のきっかけ

稲葉繁先生が大学院の頃、今から40年以上前、舌の働きに興味があり、舌の文献を沢山集め始めました。

そして、同時に顎関節症の研究もしていたので、よく観察しているとどういうわけか、顎関節症の患者様の舌の圧痕、歯の形の圧痕、口蓋鄒壁の肥厚をみつけ、気になり始めたそうです。


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▼顎関節症の患者様で舌のところに圧痕があります。

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▼圧痕は、歯の形に沿っているのがご覧いただけるかと思います。

たまたま、30年ほど前、今の筋機能療法学会の大野先生という方が連れてこられたアメリカのツィックフーズという医学療法士の講演を聞く機会があり、マイオファンクショナルセラピーのことを知りました。


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マイオファンクショナルセラピーとは筋機能療法のことで、口の周りの筋肉を鍛えた

当時は顎関節症と舌壁(舌の間違った使い方)の関係について全くやっていませんでした。

ツィックフーズ先生の講演の後、稲葉先生は質問したそうです。

「顎関節症と舌壁の関係についてどう思われますか?」

当時の答えは、

「わからない」 だったそうです。

その後、稲葉先生は一生懸命舌の働き、さらには嚥下(飲み込み)機能のやり方について研究してきました。

『咀嚼・嚥下・発音』を育てるには、元をたどれば母乳からなんだということも、その時確信しました。

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出だしを間違えると生涯の問題になります。

実際に間違った飲み込み(嚥下)機能をしていることにより様々な障害があるということがわかりました。

このような経緯で、ラビリントレーナーを発案しました。

具体的には、東急ハンズへでかけていき、温度によって形が変形するシリコンをみつけ、稲葉先生自身が、自分の口の中に入れてみて、唾液(つば)を飲んでみ たり、口の周りの筋肉を動かしてみて、口の中から取り出してみたのが、まさに今の『ラビリントレーナー』の形となりました。

舌の機能を40年間研究してきた集大成でもあります。

次回は、舌の正しい使い方と間違った使い方についてお伝えいたします。

 

◆日本の3大死因、肺炎が、脳血管疾患を上回りました

日本の3大死因とは、「悪性新生物」(がん)、「心疾患」、「脳血管疾患」で、人口動態調査によれば、2010年の総死亡数の半分以上をこれら3つの死因が占めていました。

しかし、2011年について1月から11月末までの死亡数概算値の累計を見ると、4番目に死亡数の多い肺炎が増加し、脳血管疾患を上回り、3大死因となりました。

肺炎による死亡数の増加は、高齢者の人口が増加したことによる影響が大きいと考えられます。

特に、高齢者は飲み込む力(嚥下えんげ)が衰え、誤嚥性肺炎を起こしやすくなっています。

飲み込む力が低下することにより肺炎を起こすケースが大変増えてきたという事です。

反対に脳血管疾患は、医療技術の進歩により、減少していますが、高齢者の誤嚥性肺炎に対する対策はほとんどされていないのが現状です。

これから超高齢社会を迎える日本は、これから、肺炎による死因のリスクは更に高まる可能性が高いです。

◆摂食嚥下訓練器具、ラビリントレーナーについて

ラビリントレーナーは、 食事中にむせる、食物を飲み込みにくい、食べこぼすなどの嚥下(えんげ)機能が衰えはじめている方、脳卒中などで、飲み込む力が衰えている方の訓練器具として、元日本歯科大学、高齢者歯科学教授、稲葉先生が発案した器具です。

日本では年間およそ8.000人の人が食べ物により窒息していると言われています。(誤嚥性肺炎)

そのほとんどが65歳以上の高齢者です。

■     食事中にむせる、せきこむ

■     食物を飲み込みにくい、食べるのに時間がかかる

■     食べこぼしがある

■     飲み込んだ後に声がかれる

■     食物がのどにつまる感じがする、胸につかえる

■     唾液(つば)が減って来た、口が渇く

■     唾液が多い、よだれが出る

■     肺炎や気管支炎を繰り返す

このような症状がある方は、飲み込み(嚥下)機能が低下しているという意識をしていただきたいと思います。

稲葉繁先生が発案した、『ラビリントレーナーに』は、飲み込み(嚥下)機能を鍛えるの器具として、大変有効な結果を得ています。

ラビリントレーナーの名前の由来はその名の通り、

ラビアル=唇

リンガルは=舌

ということで、唇と舌の訓練器具という意味です。

 

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舌と唇、そして嚥下(えんげ)に必要な筋肉を鍛えることができるラビリントレーナー。

この発案には、40年もの間、研究を積み重ねてきた歴史があります。

次回は、稲葉先生がラビリントレーナーを発案した歴史についてお伝えしたいと思います。

 

 

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稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子 顧問 稲葉繁

稲葉歯科医院
院長 稲葉由里子

昭和44年に父、稲葉繁(現・顧問)が文京区伝通院で稲葉歯科医院を開業、平成11年に場所を移して秋葉原で新しく開業しました。

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当院では、入れ歯の本場ドイツで直接学んだ技術を活かし、つけていることを忘れるくらい、自分の歯のように何でも噛めて、笑顔に自信がもてる入れ歯を作っております。

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