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2010年2月25日

◆インプラントと部分入れ歯の違いについて(私、稲葉由里子がお答えします。)

Q.インプラントと部分入れ歯について質問します。(60歳女性 N.I)
かなり悩んでいます。

過去に下1番奥を抜き2番目でブリッジとなっていました。ところが2番目の歯が割れてしまい、奥歯が3本ない状態です。反対側の奥歯にもブリッジが入って います。最近全体的に歯がグラグラしてきたような感じもします。近所の歯科医へ行ったところ、部分入れ歯かインプラントとの事でした。インプラントの費用 は22万~28万と言われました。
そこで、いくつか質問があります。

・インプラントと部分入れ歯どちらが私にとってよいのでしょうか?
・インプラントの22万~28万円の費用は相場通りでしょうか?
・部分入れ歯の使い勝手はどうなんでしょう?

正直、入れ歯はかなりの抵抗があります。2年前、骨粗鬆症の診断を受け腰の手術をしています。血圧も高めなためインプラント治療も不安で・・・・・。

A.それではまず、インプラントがどういうものかについて知っておきましょう。

nobel.gif

ノーベルバイオケアのパンフレットより。

歯の絵がでてきましたが、左側が天然の歯、右側がインプラントです。

左側の健康な歯の根っこ(歯根)は顎の骨としっかり結合して歯根膜というクッションに覆われています。その上を歯ぐきが覆って機能しています。

一方右側のインプラントは天然歯と同じような構造になっていて歯の根っこの部分がチタンという安全な金属により、顎の骨と完全に結合させることができるため天然の歯と同じように機能することが可能です。

失った歯を取り戻せる、素晴らしい方法です。

当院では、大学病院のインプラント専門医、口腔外科医との連携により安全な治療をおこなっています。

私自身もNobel Biocare社のインプラントシステムを受講しています。

しかし・・・・・インプラントが適さない条件、ご存知でしょうか?

まず、

◆骨の量です

上の図のようにインプラントを支えているのはしっかりとした骨があるからです。(骨が少ない場合は骨を作る必要があります。)そのため土台がしっかりしていないと、いくらインプラントを治療してもうまくいきません。家を建てる時も土台が大事ですよね。

これはレントゲンやCT画像による検査でわかります。

◆歯周病

インプラントは骨に支えられるため、骨が吸収する病気である歯周病は大敵です。

たとえ、その時はうまくインプラントをできたとしても、歯周病の傾向がある方は将来的に骨が吸収してしまい、インプラントがグラグラ・・・・なんてことになる可能性もあります。

◆喫煙

これ、以外と知られていないかもしれません。

喫煙は歯周病だけでなく、インプラント治療にとっても大敵です。喫煙による血管収縮作用によって、口の中の粘膜内の血流が阻害され、組織全体の免疫力が下がります。

従ってインプラント治療直後の傷の治りが悪かったり、歯周病が治らない、インプラント周囲炎になってしまうなど、インプラント治療の失敗につながる悪影響 がたくさんあります。

 ◆全身疾患

出血を伴う処置もありますので、糖尿病や高血圧などの慢性疾患がある方は良好な状態にコントロールされていることが条件になります。

骨粗鬆症などもインプラント治療が制限されます。

 

当院ではこのようなことを事前にしっかり問診し、安全で確実にインプラントを行える患者様のみ治療をしております。

今回のご質問、

● インプラントと部分入れ歯どちらが私にとってよいのでしょうか?

N.Iさんにとって良い方法は、部分入れ歯です。

なぜなら、歯が全体的に最近グラグラしている感じがする。

骨粗鬆症がある。

高血圧である。

ことからです。理由は上記に書いた通りになります。

● インプラント費用22万~28万円の費用は相場通りでしょうか?

については、とても安いと思います。

通常、しっかり手術をしている歯科医院なら40万~60万円はするはずです。

インプラントの技術を身につけるための歯科医の技術料は大変なものです。しかも材料も非常に高価で、インプラントをするにあたっての設備の維持にも相当の費用がかかります。

かえって安すぎると反対に大丈夫だろうか?と私たちも不安です。

● 部分入れ歯の使い心地はどうなんでしょう?

ここからは、当院の部分入れ歯のご紹介をしたいと思います。

◆テレスコープシステム

歯を失った際に行う治療の主流はインプラントですが、歯の喪失を予防することはできません。高齢者の多くが他に病気をもっていること、歯周病がある、骨粗鬆症で顎の骨がもろい、などインプラントで治療ができない場合があるのも事実です。
また、保険で作る入れ歯は、クラスプというバネを残存歯にかけて使用するため、健康な歯にバネの力が加わり、結果的に歯を失ってしまうこともあります。


当院ではテレスコープシステムでほとんどすべての症例をカバーしています。

そのうちのひとつがリーゲルテレスコープといいます。

リーゲルテレスコープのリーゲル(Riegel)とはドイツ語で閂(カンヌキ)のことで、入れ歯に小さな鍵のような装置を付け、この鍵の開閉によって入れ歯が簡単に着脱できるようなしくみになっています。
さらに、年月の経過と共に変化する口腔の状態に応じ、いつでも修理が可能です。すべての歯を連結、固定することにより強くなり、歯の喪失を予防することができます。

N.Iさんのように全身疾患を伴っている方に対しても、安心して治療を行うことができます。

また、歯周病があったとしても、残っている歯をすべて固定できるため歯が強くなる効果があります。

そして残っている歯を失ってしまったとしても、簡単な修理でもとの入れ歯が使えます。 今まで、歯が抜ける度に何度も作り替えていた入れ歯が、生涯ひとつの入れ歯で過ごすことができます。

ドイツ人は物を大切に修理しながら長持ちさせるという国民性があります。

入れ歯に対しても同じで、100年以上も歴史のある、このテレスコープシステムを改良しながら治療してきました。

また、このリーゲルテレスコープの使い心地なのですが、舌で触れても違和感がなく、装用感は入れ歯が入っていることを忘れてしまうぐらい快適です。

また、リーゲルテレスコープの技術の高さは、稲葉歯科医院顧問、稲葉 繁が、ドイツから初めてリーゲルテレスコープを日本に紹介してから既に31年が経った今も、当時治療した患者さんの入れ歯がしっかり使われていることで証 明ができます。稲葉はこの31年の間に、リーゲルテレスコープを用いた治療を1,000症例以上、行って参りました。 kagi.png

  左の写真は鍵が閉じている状態、右は鍵を開いた状態です。鍵を閉じると舌で触ってもほとんどわからないため違和感がありません。

金属はこの症例はチタンを使用しています。他には、スイスのメタロール社のオロフロイド3という体に安全な金属を使用していますので安心です。

 

 

◆部分入れ歯についてのご質問です。(私、稲葉由里子がお答えします。)

Q.先日保険適用で部分入れ歯を作っていただきましたが、合わずに困っております。

  下の方の左右奥歯の入れ歯(左奥4本と右奥3本分を針金で繋いだ形で残っている歯にバネの金具をはめています)なのですが、
まだ1日中入れて使用したことがないほどです。昨日、久しぶりで病院に行き当たる部分を直して頂きましたが、まだ、噛むとなんだかしっくりせず、外して食べた方がよほど噛みやすいくらいです。
(無理に入れ歯を使用しなくてもいいのでしょうか?)残っている歯も神経の治療がしてあって弱いと先生がおっしゃっていました。

なんだか噛んでいるうちに浮いてもくるようですので、保険適用の安いもの
7千円くらいでした)で作ったから精度のいいものが作れなかったのかな。
等と思っています。

A.下の歯は親知らずを含めないで14本あります。その半分7本の奥歯を失ってしまったということですね。

現在、日本の保険診療で行われる方法は、クラスプという金属のバネを残っている歯にかけて入れ歯を支えるようなものです。簡単なバネのため奥歯のような力 がかかるところで食べ物をすりつぶしたりすると動くため違和感があるのでしょう。また、天然の歯と人工のプラスチックの歯ではまったく形も硬さも違うため 上手に機能できないとも思われます。歯の溝は適当についているわけではなく、前に動かす時、左右に動かす時など、ルールのある溝がついています。それが入 れ歯の場合、溝がないまっ平らな形をしていてうまく食べ物もすりつぶせません。

人それぞれお口の中のリラックスした位置があるのですが(中心位)、入れ歯がしっかりその位置でかんでいないと違和感があります。かみ合わせの平面 もとても大切で左右が対称であることは基本ですが、入れ歯があっていない患者様の歯を調べてみるとこの基準が合っていないことがあります。

このようなこと、すべてをひっくるめて「入れ歯がしっくりこない」と感じているのだと思います。

このクラスプを使った部分入れ歯の良いところは、保険がきく、歯を抜いた時の仮の歯として使える。ことです。

悪いところは、いくつかありますが、まず、長く使うことで、バネをかけた歯がゆるんでしまうことです。その理由は入れ歯の取り外しの時に歯に負担がかかることと、食べ物をすりつぶす時入れ歯が揺れると、それを支えている歯も少しずつ揺れるためです。

クラスプというバネをかける位置、私たち歯科医が歯を抜くときに使う器具の位置と一緒です。

クラスプは歯を抜くような動きをゆっくりしてしまうため、気がついたら歯槽膿漏と同じ症状で歯がゆるみ、結果的に歯を失わせてしまいます。

また見えるところに金属色のバネがかかるので見た目が悪いです。

入れ歯の先進国のドイツでは、歯科大学の学生の授業からもクラスプによる入れ歯の治療がでてこないほど古いものとなっています。

●食事をするとき外して食べた方がよほど噛みやすいくらいです。(無理に入れ歯を使用しなくてもいいのでしょうか?)

というご質問についてはやはり、もちろん入れたほうがいいと思います。

その理由は、上の歯と下の歯はかみ合ってバランスを保っています。どちらかに歯が入っていないと、機能していないため、歯が弱くなってしまったり、 伸びてきてしまったりします。伸びてきてしまった歯はあとでかみ合わせの平面をそろえるときに調整が大変になることがあります。

もうひとつ、奥歯がないと顎の関節が悪くなることがあります。かみ合わせと関節の動きは対になっているため奥歯がないことで、関節にも大変負担がか かります。関節をひっぱる筋肉の動きは頭を支える首の筋肉とつながっています。そのため、肩こり、腰痛、頭痛などの症状を引き起こすこともあります。

それでは、これらの問題を治療法を解決できる方法はあるのでしょうか?

一つはインプラントによる治療方法です。

顎の骨の中にチタンの土台を入れて結合させる方法です。今回の患者様の場合7本のインプラント・・・ということになります。

インプラントと入れ歯についての違いは次回お答えしたいと思いますが、今回の場合、

残っている歯も神経の治療がしてあって弱いと先生がおっしゃっていました。

ということなので、インプラント治療よりも、ドイツで開発されたリーゲルテレスコープによる入れ歯をおすすめします。

◆ドイツで開発されたリーゲルテレスコープとは?

歯科治療先進国・ドイツでは、「テレスコープ」という入れ歯を使っています。
これは、保険の部分入れ歯と違い、維持装置に金属のバネを使わず、「はめこみ式」の
装置を使った入れ歯のことを表します。

テレスコープの入れ歯の歴史は1886年に始まり100年以上の歴史があります。
その間、ずっと改良、進化し続けて現代にいたっているため、非常に精密で、歴史のある入れ歯として高い評価を得ています。

当医院では、諸外国の中でも入れ歯においてもっとも技術が進んでいるとされる、ドイツの入れ歯(リーゲルテレスコープ)を取り入れています。
これは、費用はかかっても質の高い、長持ちのする治療を受ける、ドイツ人の考えから生まれたものです。

日本では合わなかったり壊れたりすると何度もつくりなおしをしますが、
このドイツの入れ歯は一度作ったら、修理しながらずっと使うことが可能です。

当医院の顧問、稲葉繁先生がはじめてドイツからリーゲルテレスコープを紹介してから30年近くになりますが、当時治療した患者様の入れ歯が、30年たった今もしっかり使われていることをみても、ドイツ人の入れ歯の技術の凄さがわかります。

いろいろな種類のテレスコープがあるなかで、当院では本場の技術を使った、リーゲルテレスコープ、コーヌステレスコープ、レジリエンツテレスコープでほとんどすべての症例を治療することができ、患者様にも満足いただいております。

リーゲル(Riegel)とはドイツ語でかんぬきのことで、これを維持装置に使っています。 入れ歯の中に小さな鍵がかかるようになっていて、鍵をしめると舌でさわってもわからないようになっているのでほとんど違和感がありません。
この鍵をひらくと(手で簡単にあけることができます)、すっと入れ歯を取り外すことができます。 

普段は入れ歯であることを忘れてしまうぐらい付け心地がよく、寝るときは歯磨きをして、入れ歯もあらって装着したままお休みになれます。
(寝ているときに間違えて飲んでしまうなんてことが絶対ないからです。)
また、神経のない弱い歯に対しても、適応できる入れ歯です。

リーゲルテレスコープは内冠が連結固定してあります。

残っている歯が神経のない弱い歯ということですが、弱い歯も内冠によって連結することにより強くなります。多少グラグラしていた歯でも固定することにより、しっかりします。

見えないところに鍵をつけるため、保険のクラスプのように見かけが悪くならず、審美的に優れ、笑った時に見えるのは、白い歯だけ、という状態になります。

リーゲルテレスコープの特徴

■年月の経過とともに変化するお口の状態に応じ、いつでも修理をすることができるため、
長く使うことができます。(保険の入れ歯は、歯が抜けるたびに毎回作りなおしが必要です。)

■残っている歯の喪失を、入れ歯により予防ができます。
(連結固定することにより歯が動くのを止めることができるため)

■入れ歯であることが周囲に気づかれないほど自然です。

■違和感がなく、快適な装着感です。

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この「リーゲルテレスコープ」は、稲葉繁(当院の顧問)が初めてドイツから日本に紹介した入れ歯です。稲葉繁顧問は、1978年から1年半の間、チュービンゲン大学のケルバー教授から直接リーゲルテレスコープについて学び、本場の技術を習得しました。

高い口腔理論と技術を必要とするため、日本ではまだまだ普及が進んでいないのが現状です。
そのため、私たちはリーゲルテレスコープの普及にも努めています。

インプラントで失った歯を入れるのに一本40万から50万。

7000円で入れ歯を作ったとのこと、一本1000円で作る入れ歯ではしっくりこないのもしょうがないかな・・・・と思います。

 

 

 

 

コーヌスクローネという入れ歯について

Q.65歳の母の入れ歯の件で質問です。保険の入れ歯に馴染めないまま5年が過ぎ、今回コーヌスクローネという入れ歯を検討しています。下の歯のブリッジは放ったままの状態、上の総入れ歯は外出時のみ付けるという生活でした。痛みや話しにくさ、噛みにくさがあるようです。
今回入れ歯に精通した歯医者さんを探し、相談してみたところ、下の歯は4本残すことが出来、コーヌスクローネの入れ歯の選択もあると言われました。できるだけ納得して決めたいので、ご意見がいただけたらと思います。
1)コーヌスクローネの入れ歯が、保険の入れ歯に比べて装着感の良い物か。どの点で違いがあるのか。
(保険の歯で馴染めない人でも、コーヌスクローネの入れ歯なら使える人が多いのか)
2)長期間使える物なのか、保険の入れ歯と比べてどうか。
3)現在の歯医者さんは、もしお金をかけるとしても、上の総入れ歯は保険で作り、下は、利用できる歯を利用してコーヌスクローネで作るのはどうか?と言われています。両者にかける値段が随分違いますが、大丈夫でしょうか。

A. お答えします

まず、コーヌスクローネという入れ歯を聞きなれない方がほとんどだと思いますのでどのような入れ歯かお伝えしたいと思います。

コーヌスクローネはドイツで開発された入れ歯です。テレスコープシステムというたくさんの種類の入れ歯のひとつで、100年以上もの歴史があります。

コーヌスとは円錐形の意味で、歯に直接接着させる内冠と入れ歯の本体、外冠により構成されています。(二重に被せる方法)

内冠は円錐形で角度は6度(コーヌス角)、維持力は内冠、外冠のくさび力によります。
同じ形の紙コップを重ねると、ぴったりくっついて離れなる現象をイメージして頂けるとわかりやすいかもしれません。
装着の最後で内冠と外冠がすっとはまると、はずれなくなります。

この角度は歯の状態により調整することができます。

はずし方は入れ歯に指がかかるくぼみを作っておいて、それを持ち上げるとはずれます。

日常の生活でははずれてしまうことはまずありません。
基本的にコーヌステレスコープは神経のない歯には適応ではありません。というのは維持力が直接歯にかかるため、入れ歯の取り外しのときに神経のない弱い歯だと、土台ごと抜けてしまう危険性があるからです。
また、歯の残っている場所によっては禁忌症もあるので、しっかりとした診査、診断、治療計画が必須です。

適応を間違わなければ何十年も使える優れた入れ歯です。

それでは質問にひとつずつお答えします。

コーヌスクローネの入れ歯が、保険の入れ歯に比べて装着感の良い物か。どの点で違いがあるのか。
(保険の歯で馴染めない人でも、コーヌスクローネの入れ歯なら使える人が多いのか)

保険の入れ歯との装着感は全く違います。通常4本の歯が残っていると、日本の保険で作られる入れ歯はクラスプという金属のバネをつかったものです。
クラスプと歯は密着していますが、接着はしていません。そのため入れ歯が動きます。

入れ歯が口の中で動くと気になり異物感があります。
それに比べて、コーヌスクローネは内冠、外冠のくさび力でしっかり固定されるため、口の中で入れ歯が動くことがありません。そのため、保険の入れ歯に馴染めない方でもしっかり自分の体の一部として使うことができます。

◆長期間使える物なのか、保険の入れ歯と比べてどうか。

保険の入れ歯はバネをかけている歯が抜けてしまうとすべて作り直しが必要です。日本では合わなかったり壊れたりすると何度もつくりなおしをしますが、
このドイツの入れ歯は一度作ったら、修理しながらずっと使うことが可能です。長期間使うための入れ歯といってもいいでしょう。

◆現在の歯医者さんは、もしお金をかけるとしても、上の総入れ歯は保険で作り、下は、利用できる歯を利用してコーヌスクローネで作るのはどうか?と言われています。両者にかける値段が随分違いますが、大丈夫でしょうか。

せっかく下の歯をしっかり治すのであれば、上もそれに合ったものでなければ意味がありません。

上下の歯は対になっています。

下の歯がいくら丈夫でしっかりしていても、上の入れ歯が落ちてくるようなものなら食事もできないし、しゃべることもできません。

材質も全く違います。コーヌスクローネに使用される人工の歯はDr.Strack設計の機能的で美しさも兼ね備えたものです。 患者様の肌の色、顔の輪郭、などを参考にして選択します。

保険の入れ歯の人工の歯は、とてもやわらかいプラスチックです。

上の入れ歯を保険、下の入れ歯をコーヌスクローネとなると、別々の技工所で製作するため、完成して合わせるのが非常に難しくなります。

コーヌスクローネに合った入れ歯を同じ材質で、咬合器(かみ合わせの器械)を使用して作ることをおすすめします。

部分入れ歯のフックの針金が気になる

ワイヤーが見えない部分入れ歯について

Q.今まで左下奥歯の奥から2番目の歯を早くから抜歯しており、一番奥の歯と三番目の歯とでブリッジにしておりました。最近歯医者さんへ行ったところ、奥と奥から三番目の歯が歯周病になっており、抜歯をしました。今は奥から3本共に歯が無い状態です。

医師より保険適応の部分入れ歯を進められましたが、引っかけていた良い歯までワイヤーの針金で歯周病になりやすいとも説明を受けました。針金状の引っ掛けワイヤーが表から見えるのが気になると話すとインプラントを進められました。でも、手術をするのは怖いし、保険の入れ歯よりよくて針金が見えない部分入れ歯ってあるのでしょうか?

A.お答えします

現在、日本の保険で作られる入れ歯はクラスプという金属のバネをつかったものです。
クラスプと歯は密着していますが、接着はしていません。
そのため入れ歯が動くと一緒に歯を動かしてしまい、ゆっくりと歯を抜いてしまう力が加わってしまいます。

バネで歯を支えているため、口の中で入れ歯は常に動いてしまいます。
私たち歯科医師が歯を抜歯するとき、歯を横に揺らしてから歯を抜きますが、
保険の入れ歯の場合、同じことをクラスプがしてしまうのです。

入れ歯先進国ドイツでは、クラスプによる部分入れ歯は学生の授業からもはずされています。

結果的に歯を失ってしまうからです。

入れ歯が口の中で動くことがなく、見た目も入れ歯であることが気がつかれないものにはいくつか種類があります。コーヌスクローネ、リーゲルテレスコープ、CSP、ミリングデンチャーなどです。

いずれも保険適応外となります。

当院で一番行われているリーゲルテレスコープによる3本分の部分入れ歯についてお伝えします。

保険のクラスプデンチャーは簡単な金属のバネで歯をつかんでいるため、かんだ時の入れ歯の沈み込み、(動き)はとても大きいです。それが直接歯に伝わるため、結果的に歯を揺らしてしまい、グラグラにしてしまいます。

それに比べ、リーゲルテレスコープは土台となる2本の歯を連結固定、その上に2重に歯を被せてます。

維持力は鍵のような小さい装置で、鍵をしめることでしっかり入れ歯を固定します。

リーゲルテレスコープによるかんだ時の入れ歯の沈み込み(動き)は300ミクロンです。

そのうち土台となる歯にかかる動きは120ミクロンのため、ほとんど土台に負担がかかりません。

もちろん、しっかりと歯ぎしりもできて、使用感も自分の歯とかわりません。

リーゲルテレスコープはインプラント同様、しっかり自分の歯として使うことができると言ってもよいでしょう。

Q.入れ歯ははずして寝た方がよいですか?

入れ歯ははずして寝るのが普通みたいですが・・・

はずして寝ると、奥歯の高さが違うので顎関節症の原因になると聞きましたが、夜部分入れ歯をはずして寝ると、よくないのでしょうか?

A.お答えします。

保険治療で作った入れ歯は樹脂がやわらかいため、樹脂内部が汚れやすく、臭いがしみこみやすと言われています。そのため、夜ははずして消毒をするようです。粘膜を休ませるためとも言われています。

当院の入れ歯は夜寝る時もはずさずに、お休みいただいております。

テレスコープ義歯、上下顎同時印象法による総入れ歯に使う樹脂は汚れ臭いが染み込みにくい材料を使用しています。

日本大学松戸歯学部と、ベルチン自由大学がそれぞれ行った興味深いアンケート調査があります。

入れ歯の患者さん、それぞれ55人を対象に、入れ歯の手入れ方法、手入れ時期、使用習慣、歯ぐきの手入れ について質問をしました。

結果、ドイツと日本の患者さんの使用習慣だけ、大きな違いがありました。

ドイツの患者さんの多くは、昼間も夜間も入れ歯を装着しているそうです。これに対し日本では、ほとんどの患者さんが 入れ歯を外して就寝していることがわかりました。

夜はずしている姿を、夫や家族に見られたくないということもあるようです。

ドイツの歯科医師は、夜はめたまま就寝するように指導しているそうです。

当院の入れ歯を使用している患者様も

「入れ歯が体の一部になっているから外すと不安です。」

とおっしゃいます。

体の一部になっている入れ歯なら、夜きれいに洗浄し、はめたまま就寝されてもいいと思います。

阪神大震災の時、夜入れ歯を置き忘れて食事ができなくなった人がたくさんいた。という話しを聞いたりします。夜何があるかわからないので、やはり、はめたまま就寝することをお勧めいたします。

入れ歯による顎(がく)関節症について

「顎(あご)が大きくひらけない」「顎の関節付近が痛い」という症状を訴え、さらに詳しい問診をすると、「肩がこる」「腰が痛い」「手足がしびれる」「耳鳴りがする」「偏頭痛がひどい」というような症状をもつ中高年の患者さんが増えてきています。

これは顎関節症と言われる症状です。

顎(あご)付近の痛みを訴えたり、口がひらかない、顎のあたりでパキン、ジョリジョリ、コッキン、という音がするといったものです。

 顎関節症というと20代から30代に多い疾患とされてきましたが、若い人の、歯並びが悪い、親知らずによるかみ合わせのバランスが悪いといった原因とは 違い、中高年からの顎関節症の原因は、歯にかぶせてある銀歯や、詰め物、とくに入れ歯によるかみ合わせのバランスがあっていないことに起因しております。

 

入れ歯が原因による顎関節症の症例

右側の顎の痛み、お口がまっすぐ開けられないということで来院されました。

正面から見て顎を開けると左側にずれているのがわかります。 

 

 

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入れ歯を見ると、右側に比べて左側の歯が異常にすり減っているのがわかります。
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顎(あご)関節のレントゲン写真をとってみました。

左側の関節円板(顎と骨のあいだのクッション、このクッションにのって顎は動きます)が落ちてしまっていると診断しました。


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入れ歯を作りなおす前の治療法として、以前作った入れ歯を複製し、下顎頭を下げて、顎がスムーズに動くように、右側の噛み合わせを2ミりあげました。

その複製入れ歯でまっすぐお口が開けられるのを確認し、顎の痛みもとれたため、新しく入れ歯を作りなおすことになりました。

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上下顎同時印象法により、稲葉式総入れ歯の型をとります。
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かみ合わせの器械はKAVO Protar咬合器のPDR Insert を用い、下顎頭を下方に下げ、顎がスムーズに動くようになるように調整しました。
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顎機能検査、CADIACSを使って、PDRインサートを0にした時、PDRインサートを2ミリにした時のグラフで右の顎が2ミリ下がっていることを確認し、入れ歯を完成させました。

 

 

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完成した入れ歯によって、顎の痛みはすっかり良くなり、お口もまっすぐ開けることができるようになりました。

この治療法は入れ歯で顎関節が動くように誘導させるものです。

この症例は、稲葉繁先生のもので、非常に高度な知識が必要です。

長い間、合っていない入れ歯を使っていると、入れ歯による顎関節症を引き起こすことが十分考えられます。

入れ歯による顎関節症の症例

この患者様はある先生からのご紹介で、

「すべて歯を治したのだけど、顎の具合が悪くなってしまったので診ていただきたい。」

 とのことでした。

診てみると、このような状態でした。

治療されている歯はすべて保険の歯で、奥歯が銀歯でいっぱいでした。

神経もほとんど治療されていて、治療が終わった後は顎関節症になってしまいました。

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患者様は精神的にも病んでしまっていて、お顔の表情も暗く、体全身、顎の具合も悪い状態でした。

患者様に状態を説明して、すべて やり直しをすることになりました。

上下の歯、すべて、セラミックでやり直すことになったりました。

稲葉繁先生と、技工士の川崎従道先生との連携によるものです。

川崎従道先生とは、スイスで10年間技工を勉強しながら働き、スイスの技工士学校の講師も務めていた、非常にすばらしい先生です。

先生の作った歯は、天然歯の美しさに限りなく近く、とても細かい機能まで再現されています。

体の正中に対する顎の位置を記録、型とりの方法は、DR.LEHMANによるシリコン印象法です。

 

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精密に型とりをした模型を技工士の川崎先生へ送ります。

歯肉つき模型を製作します。


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診断用のワックスアップ

ワックスで歯の形を作り、最終的にどんな形にしたらいいかを診断します。

 

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歯一本一本、ルールのある形、溝がついていて、顎を前に出した時、横にずらした時の通り道をワックスで再現してあります。

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ワックスで形が決まったら、セラミックを焼きつけるメタルコーピングを製作します。

 

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完成したセラミック

一本につき、24色の色を使っているそうです。

以前、私がセラミックを作る実習を川崎先生から受けた時、一本作るのに一日かかりました。

24本の歯を作るのにどれだけの時間と集中力が必要なのかがわかります。

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セラミックをお口の中にセットした状態。

ほとんど無調整です。

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患者様の表情も、治療前と後ではこんなにかわり、素敵な笑顔に。

歯を治したと同時に顎の具合も良くなりました。

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  そして、5年後の写真。

治療した当初よりも歯と歯ぐきがなじみ、美しくなっています。

現在治療後10年近くたちますが、今もかわらず素敵な笑顔でメンテナンスをされています。

 

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上下顎同時印象法による総入れ歯

 

歯がない状態と、上下顎同時印象法による入れ歯をいれた状態では、こんなに違います。

 

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 初診

入れ歯がゆるくてかめない、動くから痛い。

人前で話をするのがおっくうになるという理由で来院されました。 歯に対して、とても劣等感があるともおっしゃっていました。

 

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痛くなく、食事が楽しめて、劣等感をなくしたい。

という切実な希望により、上下顎同時印象法による総入れ歯で治すことになりました。

第一回目の型取りをしました。

模型にしたものと、以前使われていた入れ歯を比べてみると、入れ歯、本来のスペースよりもだいぶ小さく作られていて、筋肉によるサポートがほとんどないことがわかりました。

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  この模型をもとに、精密な型取りをするための道具をつくります。

ここからは2回目の来院です。

下の写真はゴシックアーチといって、顎のうごきの記録をとるものです。

顎の動きは正常でした。

 

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上のトレーを使って、上下を一緒に精密な型取りをします。

このとき、同時にからだの正中に対する顎の位置の記録、かみ合わせの高さも同時に記録します。

型取りの最中に、つばを飲み込んでもらうことで、食事をしているときのお口の中の筋肉の状態が再現されます。

 

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  型取りをしたあと、その人の肌の色、顔の形を見ながら、人口の歯を選びます。

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 たくさんの情報を、咬合器というかみ合わせの器械に移します。

 この模型で、入れ歯を作ります。

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入れ歯が完成する前にワックスで形を作り、人工の歯をすべて並べた状態で、チェックします。

 このとき、発音、適合、審美性など、こまかく確認をします。

 

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重合はイボカップシステムで行います。ワックスを硬い材料にかえます。

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入れ歯が完成、お口の中に入れたところです。

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 フルバランスドオクルージョンというかみ合わせの誘導をつけています。

咬合器の情報がそのままお口の中でもしっかり合っていました。

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入れ歯を入れた後、数回の調整を行い、患者さんはこの入れ歯を自分の体の一部にしてしまいました。

発音がしっかりできるようになったことも喜ばれていました。

セラミックのブリッジとコーヌステレスコープの症例

初診時



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かみあわせが深く、下の歯が見えません。

それぞれ、むし歯の治療を違う歯科医院でなおしてきたそうです。
入れ歯を作るときに大切なことは、歯が並んでいる平面が左右対称で、体の正中、真ん中の線に対して垂直であることです。
それが、この状態ではバラバラになってしまっています。


 

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歯が抜けてしまったところをただ埋めたような感じで、全体にバランスがとれていません。

抜けてしまったところは金属の金具(ばね)のついた部分入れ歯が入っています。

このようにバランスのとれていない歯は一本ずつ治療をしても治りません。
すべてのかぶせ物をはずし、全体のかみ合わせの平面をなおします。


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すべての金属をはずしたところです。

 
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かりの歯をつくっているところ。
この時点で左右が対象になるように、笑った時上の歯も下の歯もみえるようにかみ合わせをなおします。


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上の歯はセラミックによる全体的に連結したブリッジ。
下の歯はコーヌステレスコープで治療しました。
最初のときに比べて笑った時、すべての歯がきれいに見えるようになりました。かみ合わせの高さを上げたため、口元のしわも伸びて若返ったようだとおっしゃっていただき、大変よろこんでくださいました。

22年経過したリーゲルテレスコープの症例(稲葉繁先生による)

初診の状態

上の歯は前歯に部分入れ歯、下の歯は奥歯が欠損していて、バネつきの入れ歯がはいっていました。 

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入れ歯を口からはずした様子
このままだと近い将来、総入れ歯になる可能性が高いです。

部分入れ歯の金具(バネ)による歯の負担が非常に大きいからです。



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これ以上、歯を失いたくないという患者様のご希望により、上下の歯をリーゲルテレスコープで治療することになりました。


1987年当時、いまから22年前としては非常にめずらしい、全部の歯を一緒に鋳造しています。(ワンピースキャスト)
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完成したリーゲルテレスコープ、すべて一体で鋳造しているため、とても強いです。(ろう着だと、折れてしまいます。)

リーゲルテレスコープは途中で入れ歯が折れたり、割れたりすることはありません。 

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10年経過したリーゲルテレスコープ。

装着したときとほとんど状態が変わっていません。

修理も必要ありません。


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17年経過、写真むかって右側の犬歯の歯が割れてしまいました。(もともと神経がない弱い歯でした)

歯をぬくことになりましたが、リーゲルテレスコープは修理をすることができるため、修理し、抜いたその日のうちに入れ歯を使うことができました。

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患者様は22年前に、この方法で治さなかったら、歯をすべて失ってしまっていた。

とおっしゃっています。

現在も、奥様と一緒に毎月メンテナンスにみえています。

このように、リーゲルテレスコープは、今ある歯を連結固定して、守ることができます。

そして、メンテナンスにより、歯の寿命をのばすことができます。

先日、マグネットのついた部分入れ歯を入れた患者様が来院されました。

「かめない ・・・・」

ということです。

たしかに手で取り外しができるぐらいの接着力、食べ物をすりつぶす力で簡単にずれてしまうと思います。

リーゲルテレスコープは入れ歯の中に小さな鍵のようなものが組み込まれたものです。

その鍵の開閉によって入れ歯を着脱します。

食べ物をすりつぶす力ではけっしてはずれません。

 

リーゲルテレスコープの症例(稲葉 繁先生による)

  とても難しい症例です。

 上の歯は前歯だけしか残っていなくて簡単な歯が入っていました。

問題は下の歯です。

前歯のすり減りがはげしく、後ろの歯は極度に骨が吸収しているのがわかります。

食事をすることができなくなってしまい、入れ歯はすぐにこわれてしまうとのことで、 非常に困って来院されました。

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とりあえず、今使っている歯を補強して修理をしました。

かみ合わせの平面もずれていたため左右対称にそろえました。

上の歯も仮の歯を入れたところです。

この時点で患者様はかめることに非常に喜ばれました。

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ワックスで模型診断をしたあと、上下の歯をリーゲルテレスコープで治すことになりました。

下の写真は精密な型取りをしたところです。

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出来上がった上の歯です。

鍵(リーゲルレバー)が閉じている状態と開いた状態。

指で簡単に開閉することができます。閉じると舌で触っても全くわからなくなります。

とりはずしができるブリッジのようなイメージです。

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下の歯のリーゲルテレスコープです。

鍵が閉じているところと開いているところです。

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歯の部分はセラミックで作ったため、審美的にもとてもきれいに仕上がりました。

お口の中に入れると、金属の部分は見えなくなります。

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稲葉歯科医院の総入れ歯は、『上下顎同時印象法』という治療方法で良好な結果を得ていますが、この治療方法は父の稲葉繁が開発し、全国の先生方に広めている方法です。

歯科医師向けの本や雑誌は何冊もでているのですが、患者さん向けの文章がほとんどないので、今回から数回にわたり、総入れ歯について私がなるべくわかりやすい文章にして、みなさんにお伝えしたいと思います。

まず一回目は現在一般的に治療されている入れ歯の製作方法と上下顎同時印象との違いについて書きたいと思います。



江戸時代の人がぴったり合う入れ歯を使ってた!?

世界最古の木床入れ歯が日本の江戸時代の埋葬頭がい骨から発見されました!
とてもよく使われていたようで、歯が天然の歯のようにすりへっているのです。
よほど合っている入れ歯でないとこのようなすりへりはないことから、本当にびっくりしてしまいます。
当時の入れ歯の製作方法を調べてみると、とてもよくできていて、仏教芸術の伝統を受け継いでいることがわかります。
その製作方は、なんと、みつろうを使った型とりを上下一緒に行っていたのです。
みつろうを温め、そのかたまりを患者さんの口の中に入れてかみ合わせの高さまで記録します。
そのみつろうを口の中から取り出して上下二つに分けるのです。
江戸時代にこのような素晴らしい方法で製作していたなんて感心してしまいます。
舌の役割、総入れ歯でも同じ動き、機能を果たします。
わたしたちが生きていくための栄養摂取の第1段階として食事をするためのお口の中の機能はとても重要です。
歯があるときの舌の使い方、発音の仕方などは、歯がない総入れ歯の場合も同じ使い方をします。
まず、嚥下(食事をする)時、最初に舌を上あごに押しつけ、その後徐々に後ろのほうに移動して食物を飲みこみます。
このような舌の行動は、入れ歯をはずしてしまいやすくなります。
その際、入れ歯をはずれにくくするには舌が後ろに移動していく時にさわるあたりを安定させることが大切です。
また、発音に関しても舌はとても関係が深いです。
入れ歯が安定し、しっかりと吸着するには「天然の歯があったころと同じ場所に人工の歯を入れることが最も良いとされています。
歯があるときの状態は、外側からは頬の筋肉の圧力、内側からは舌の圧力によりバランスが保たれています。
たとえ、歯を失ってもこの状態は変わらず、外側からは頬の筋肉、前方からは唇が内側に押しているのですが、舌は外側への支えを失い、歯があった時と比較すると舌は大きく広がり、歯の入るスペースがないように見えます。
そのため、歯のない状態の型取りは非常に困難なように見えます。
「上下顎同時印象法による総入れ歯の製作法」は、この困難な型取りを患者さん自身に再現していただく方法です。
先生が想像して型をとるよりも、患者さんの以前あった筋肉の状態を上手に誘導してあげることで、患者さんが再現できることが理想的です。
私たちが食事をするとき、お口の中の筋肉がどのように働いているか、ちょっと想像してみてください。
そうです、つばを飲み込むとわかりやすいと思います。
唇、舌が強い力で歯を押し付ける感じになり、口の中は圧力がかかります。
これは入れ歯に対しても同じため、食事をするときと同じ筋肉の状態を 再現できるのがいいですよね。
食事をした時と同じ、つばを飲み込む状態なんて普通、どうやって型取りをするのだろう・・・・って思いますが、「上下顎同時印象法」では型とりの最中に、つばを飲んでもらいます。
これは、上下別々で型取りをしていた従来の方法では、絶対できなかったことです。
もちろんこの最終的な型取りをする前の準備があります。
あらかじめ、入れ歯の高さ、正中があっているかどうか、左右が対称であるかどうか確認して、専用のトレーを作成しておきます。
従来の入れ歯の形は入れ歯を下顎の舌の後ろ側に長くのばしていました。長くのばしておくと安定がいいからです。
でも、欠点があります。舌が動いていないときは入れ歯がはずれないのですが、舌が少しでも動き始めると入れ歯がはずれてしまうのです。
これでは、安心して舌を動かせません。
それに対して「上下顎同時印象法」による新しい入れ歯の形は舌の前方あたりのやわらかいところ(サブリンガルルーム)を利用して、舌が自由に動けるようにしました。
歯が抜けると、骨が薄くなります。そこをおぎなうのが床(ピンク色のプラスチック)ですが、この床の面積を大きくするほど、入れ歯もよく吸着します。
頬の筋肉の力のサポート、唇のサポートそして舌のサポートにより、入れ歯は吸着し、そのバランスが保たれているところに人工歯を並べると、とてもよい入れ歯ができあがります。
このバランスが合っていないと、笑った時に、下の歯しか見えなかったり、かみ合わせが低くて顔がつぶれたように見えたりします。


笑った時に見えるのは、「歯 」だけ見えるように作るのが理想的です。
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上下顎、別々に型取りをする従来の方法はこのような歯の情報を得るのが難しいことから、「上下顎同時印象法」は精度の高い新しい技術と言えると思います。

当医院では、諸外国の中でも入れ歯においてもっともすすんでいるとされるドイツの入れ歯(リーゲルテレスコープ)をとりいれていますが、これは、費用はかかっても質の高い長持ちのする治療を受けるドイツ人の考えから生まれたものです。

日本では保険の入れ歯の調子が悪ければ、半年毎に取り換えることが可能です。

患者さんの中にはビニール袋の中にたくさんの入れ歯を入れてきて、どれも合わないと訴える方がいらっしゃいます。

これらの入れ歯を一つにまとめ、良質で高度な技術と材料を使用することができれば、高齢者となったとき、歯を失わず快適で豊かな食生活をおくることが可能です。

(ドイツでは、最低3年間は耐用年数と考えられていて、万が一紛失した場合は、全額患者さんの負担になります。)

当医院の顧問、稲葉繁先生がはじめてドイツからリーゲルテレスコープを紹介してから30年近くなりますが、当時治療した患者さんの入れ歯が30年たった今もしっかり使われていることをみても、ドイツ人の入れ歯の技術はすごいな、と関心します。

(現在も定期的に歯科医師、歯科技工士を対象にリーゲルテレスコープの研修会をひらいています。詳しくは、IPSG事務局にお問い合わせください)

リーゲルテレスコープは、全部歯を喪失している総入れ歯の方にではなく、上下の歯が数本残っている方に適応されます。

日本の部分入れ歯はクラスプというバネを残っている歯にかけるものがほとんどです。

歯は噛む力の方向には強いのですが、横にかかる力にたいしては非常に弱いです。

クラスプは歯にばねをかけて横に揺らしてしまいます。そのため歯がゆるみ、歯槽膿漏と同じような症状でぬけてしまうことが多いです。(病院によっては、歯槽膿漏と診断されることもあります。)

リーゲルテレスコープは残っている歯、すべてを固定し強くして歯を横に揺らさないようにすることができるため、残っている歯を利用し長持ちさせることが可能です。

現在、歯を失った方に対してインプラントが主流で、当医院でも、骨がしっかりしていて条件がそろっていればまず、インプラントをおすすめしますが、なかにはインプラントで対応できない事がいっぱいあります。

骨がうすい、残っている歯がぐらぐらしている、欠損している歯がたくさんある、など。中にはインプラントが嫌だという方もいらっしゃいます。

そういう方にはリーゲルテレスコープをおすすめします。

もうひとつリーゲルテレスコープの優れているところは、修理ができることです。

長い間には中が虫歯になったり、歯が割れてしまってどうしても抜歯をしなくてはいけないこともでてきます。

その時、また入れ歯をすべて作りなおすのではなく、簡単な修理でもとの入れ歯を使うことができます。

もちろん、最初にリーゲルテレスコープを作るとき、技工士と設計をするのですが、弱い歯に対しては、抜けることを想定しておいて、修理ができるようにしておきます。

弱い歯はリーゲルテレスコープでできるだけ持たせて守ってあげるという考えです。

また、保険の入れ歯は人が見て、入れ歯であることがすぐにわかります。(特に私たち歯科医師は)

リーゲルテレスコープは見えるところに金属色を使わないようにすることができるので、入れ歯であることがほかの人から気がつかれません。

 

それでは、ばねもなくどのように入れ歯がしっかり固定されているかというと、

リーゲル(Riegel)とはドイツ語で閂(カンヌキ )のことで、これを維持装置に使っています。

入れ歯の中に小さな鍵がかかるようになっています。

これは、鍵をしめると舌でさわってもわからないようになっているのでほとんど違和感がありません。

この鍵をひらくと(手で簡単にあけることができます)、すっと入れ歯を取り外すことができます。

普段は入れ歯であることを忘れてしまうぐらいです。

もちろん、寝るときは、歯磨きをして、入れ歯もあらって装着したままお休みになれます。

(寝ているときに間違えて飲んでしまうなんてことが絶対ないからです。)

自分の歯が一番大事ですが、もしも残念ながら歯を失ってしまった場合、このような治療方法がありますのでどうぞどのような治療方法がご自分にとって最善か 歯科医師と相談することが大事だと思います。

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上の写真はリーゲルテレスコープ義歯。鍵をひらいたところです。しめるとしっかり歯が固定されます。

下の写真はセラミックのブリッジとインプラントをいれました。

メンテナンスについて

先日、自宅のガスの湯沸かし器の調子が悪くなってしまい、、ガス会社に電話して修理にきてもらいました。

「ガスの湯沸かし器械がだいぶ汚れていて、部品も劣化していて取り換えなきゃだめですね。」

とのこと。

やはり、ガスの湯沸かし器も年に一度のメンテナンスが必要ということです。

きちんとメンテナンスしていれば器械をとりかえる必要はなかったと思うし、かえって高くついてしまいました。

これって歯のメンテナンスと一緒ですよね。

せっかく治したと思った歯周病や虫歯がしばらくしてまた悪くなってしまい、もっとひどくなってしまっていた・・・・なんて経験ありませんか?

治ったと思った歯周病は生きている限り、食事によって歯垢(プラーク)はつくし歯石もたまります。

定期的なメンテナンスでは、歯垢もやわらかくとりやすいのですが、一年以上たってしまった歯石は硬くなってしまうため、また最初から治療しなくてはいけなくなります。

綺麗に被せたセラミックも、ほうっておくと歯肉が腫れてしまったり、歯周病で歯がぐらぐらしてしまうことだってあります。

入れ歯の場合もメンテナンスはとても大事です。

せっかく作った入れ歯も、メンテナンスをしないと土台になっている歯が歯周病になって抜けてしまいます。

稲葉歯科医院のリーゲルテレスコープは抜けてしまったとしても修理ができますが。普通の保険治療の入れ歯では抜ける度に作りなおしが必要になります。

そのため、歯を一本でも失わないためにもメンテナンスが大切です。

安心してメンテナンスをうけて入れ歯を長持ちさせるか、歯を失いながら何度も作りかえるのとどちらがいいでしょうか。

稲葉歯科医院では3か月に1度のメンテナンス(定期検診)をおすすめしています。

メンテナンスの手順は

1. まず、患者さんのお口の中の様子をお聞きします。
2. つぎにずべての歯を一本ずつ拡大鏡をつかってむし歯がないか確認します。特に歯と歯の間はむし歯ができやすいのでフロスを使い確認します。
3. 超音波の器械を使って歯の表面の歯垢(プラーク)を除去します。
4. 歯と歯肉の隙間(ポケット)が深いところは衛生士がスケーラーという道具を使って除去します。
5. 着色のある歯の汚れをとって器械で磨いて仕上げます。
6. すべての歯に歯間ブラシを通して、歯肉をマッサージします。
7. 最後に、衛生士から、歯磨きの指導などのアドバイスがあり、ご希望によってフッ素を塗布します。

入れ歯の場合も毎回、超音波洗浄にかけ、着色のついた歯は綺麗にみがき、こわれていないかどうかチェックします。

ご自分の歯は生涯を充実させる財産です。人工の歯はいくら高い技術で作られたとしても天然の歯にはかないません。一本でも多くの歯が健康に保たれるように、私たちがお手伝いできたらうれしいと思っています。

入れ歯で歯の予防とは?(予防補綴)

入れ歯で歯が抜けるのを予防することができます。

60歳を過ぎている中高年の方々はすでに、むし歯、歯槽膿漏に かかっています。

その結果多くの歯を失ったり、近い将来歯を失うことが予想されます。

このような場合、全体的に歯を固定して、強くし、それ以上歯を失わないようにする方法があります。

この時、消極的な治療を行い、クラスプ(部分入れ歯を支えるバネ)などを使ってしまうと、せっかく残っている歯にストレスを集中させてしまい、最終的には歯が徐々に抜けてしまうという状態になってしまいます。

そのような場合にはむしろ最大限に介入し(Maximal Intervention)すべての歯を固定して、入れ歯により歯の喪失を予防するような方法がリーゲルテレスコープなどのテレスコープシステムです。

テレスコープシステムを行うことにより、歯を失うことを予防し、歯の寿命を延長することができます。

歯が抜ける度に歯科医院で入れ歯を作りなおすなどのストレスもありません。

保険の入れ歯と上下顎同時印象法による入れ歯の違いについて

保険の入れ歯と上下顎同時印象法による入れ歯の違い


 小さい方の入れ歯は保険で製作した入れ歯です。

大きい方は上下顎同時印象法で製作した入れ歯です。

同じ人の入れ歯とは思えませんが、同じ人です。
製作方法の違いによってこれだけ変わってしまいます。



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保険の入れ歯は粘膜の型とりだけするため、このような小さい入れ歯になりがちです。

入れ歯はお口の中で動いてしまうし、もしかしたら飲み込んでしまうかもしれません。

上下顎同時印象法により製作する総入れ歯は、お口の中すべての情報を記録し、再現できます。

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保険の入れ歯と上下顎同時印象法による入れ歯の違いについて

従来の入れ歯、上下顎を別々に型取りをする欠点

①機能している時の口のまわりの筋肉、舌、唇の記録がとれません。

②食事をするときの状態、つばを飲み込むことができません。

③上下の顎に平均した圧力がかけられません。

④医師の圧力による型取りのため、患者様の圧力と異なります。

⑤医師の手による圧力であるため、患者様がかんだときの圧力とは異なります。

上下顎同時印象法の利点

頭蓋を構成している骨は15種23個あり、耳小骨、舌骨をのぞいて関節によって連結されています。

歯も歯根と歯槽骨は歯根膜によって靭帯関節を作っています。

顎の関節は頭蓋で最も大きい関節でとても特殊な動きを行っています。

上の歯と下の歯も対になっています。

これを再現するためには上下別々に型取りをしてひとつにするよりも、上下を一緒に型取りをしてふたつに分けたほうが正確に再現できます。

このシステムの利点として次の点があげられます。

①精密な型取り、かみ合わせの記録、上下顎の高さ、位置の記録をわずか一回で行うため、従来のように何回も来院することがありません。

②かみ合わせの高さを記録しながら型取りをするため理想的なバランスがとれます。

③型取りの間につばを飲み込むことができます。

④型取りをした模型をそのまま、咬合器(かみ合わせの器械)に付着するためくるいがありません。

⑤患者様自身の圧力によって、口のまわりの筋肉、舌、唇の記録をとることができます。

⑥人口の歯はお口のなかの筋肉のバランスのとれたところに並べます。

⑦従来は入れ歯の歯肉の形を舌の奥の方に伸ばしていたため、舌が動くと入れ歯をはずしてしまいました。上下顎同時印象法による入れ歯は舌の前のほうを利用するため自由に舌を動かすことができます。そのため、つばを飲んだり、発音がしやすくなります。

⑧入れ歯の歯肉を作る方法(重合)も保険の方法とはまったく違う精密な重合方法(イボカップシステム)で行うためウォーターフィルム現象(ガラスの板と板の間に水を介在させるとぴったりくっついて離れない状態)を得ることができ、維持が非常にいいです。

⑨骨が極度に薄い症例は今まで、難症例とされてきましたが、新しいシステムでは、口のまわりの筋肉、唇、舌による維持を期待できるため影響が少なく、とてもいい結果を得ています。

⑩ドイツのカボ社の咬合器(噛み合わせの器械)を使用することにより、医師と技工士の連携がしっかりできます。

テレスコープシステムの違いについて

現在、日本の保険で適応されている入れ歯はクラスプというバネをつかったものです。

クラスプと歯は密着していますが、接着はしていません。 そのため入れ歯が動くと一緒に歯を動かしてしまい、ゆっくりと歯を抜いてしまう力が加わってしまいます。

バネで歯を支えているため、口の中で入れ歯は常に動いてしまいます。

私たち歯科医師が歯を抜歯するとき、歯を横に揺らしてから歯を抜きますが、同じことをクラスプがしてしまうのです。

ドイツでは、すでに歯科大学の授業からもクラスプによる治療方法ははずされていて、歯のために良くない、古い方法とされています。

では、ドイツではどのような入れ歯で治療されているのでしょうか。

テレスコープの入れ歯の歴史は1886年に始まり100年以上の歴史があります。

その間、ずっと改良、進化し続けて現代にいたっているため、非常に精密で、歴史のある入れ歯です。

ドイツ人は硬い食べ物を好みます。実際ドイツに行ってみると、パンもとても硬くて相当丈夫な歯でないとかむ事ができません。日本人が「柔らかくておいしい」と表現するところをドイツ人は「硬くておいしい」と表現します。

そのような食生活に耐えられる入れ歯でなくてはいけません。

そして、日本では合わなかったり壊れたりすると何度も作りなおしをしますが、このドイツの入れ歯は一度作ったら、修理しながらずっと使うことが可能です。

いろいろな種類のテレスコープがある中で、稲葉歯科医院ではリーゲルテレスコープ、コーヌステレスコープ、レジリエンツテレスコープでほとんどすべての症例を治療することができ、患者様にも満足いただいております。

それぞれのテレスコープの違いについて書いていきたいと思います。

コーヌステレスコープ

コーヌスとは円錐形の意味で、歯に直接接着させる内冠と入れ歯の本体、外冠により構成されています。

(二重に被せる方法)

内冠は円錐形で角度は6度(コーヌス角)、維持力は内冠、外冠のくさび力によります。(同じ形の紙コップを重ねると、ぴったりくっついて離れなくなります。その力を利用しています。)

装着の最後で内冠と外冠がカチッとはまるとはずれなくなります。

はずし方は入れ歯に指がかかるくぼみを作っておいてそれを持ち上げるとはずれます。

この角度は歯の状態により調整することができます。

コーヌステレスコープは神経のない歯には適応ではありません。

歯の残っている場所によっては禁忌症もあります。

リーゲルテレスコープ

コーヌステレスコープが内冠、外冠の維持力をくさび力でしているのに比べて、リーゲルテレスコープは内冠、外冠に維持力をかけません。

そのかわりに入れ歯に小さな鍵のような装置を付け、この鍵の開閉によって入れ歯が簡単に着脱できるようなしくみになっています。

神経のない弱い歯に対しても適応できる入れ歯です。

コーヌステレスコープが内冠が一本一本離れているのに対して、リーゲルテレスコープは内冠が連結固定してあります。

 見えないところに鍵をつけるため、保険のクラスプのように見かけが悪くならず、審美的に優れています。

笑った時に見えるのは、白い歯だけ。という状態になります。

レジリエンツテレスコープ

3歯以内の歯が残っている場合に適応されます。

レジリエンツの維持は粘膜です。

粘膜は入れ歯により沈み込むため、内冠にもその分隙間をあけて作ります。

コーヌステレスコープとリーゲルテレスコープの禁忌症に適応されます。

 

テレスコープによる入れ歯の特徴

  • 年月の経過とともに変化するお口の状態に応じ、いつでも修理をすることができるため、長く使うことができます。(保険の入れ歯は、歯が抜けるたびに毎回作りなおしが必要です。)
  • 残っている歯の喪失を入れ歯により予防ができます。(連結固定することにより歯が動くのを止めることができるため)
  • 入れ歯であることが周囲に気づかれないほど自然です。
  • 快適な装着感です。

テレスコープクラウンには削った歯に直接セメントでつける内冠と歯の解剖学的、機能的形態(歯と同じ形)をした外冠から構成されています。

テレスコープクラウンには色々な種類があります。

ドイツでもたくさんの形のテレスコープがありますが、ドイツの歯科医院、技工所を見てきた中でやはりリーゲルテレスコープがいちばん優れていると思いました。 %E3%83%AA%E3%83%BC%E3%82%B2%E3%83%AB%E5%86%85%E5%86%A0.jpg  

リーゲルテレスコープ内冠

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リーゲルテレスコープ外冠

PARTIAL DENTURE (部分入れ歯)

 部分入れ歯とは歯が一本抜けてしまったところから一本しか残っていない状態までの取り外しの床がついた入れ歯のことをいいます。

歯の本数が少ない場合、安定が悪いため、両側をバーという金属で補強します。

そのバーの種類についてお話します。

保険で適応されるパラタルバーについて

これは右と左の部分入れ歯をただ、既成の金属でつないだだけのものです。

そのため、かんだ力がそのまま反対に伝わってしまう、悪い設計だと、かんだ力でバーをてこににして、反対の歯を抜いてしまうような力がかかってしまうことがあります。

バーの設計は歯を守るために、実は非常に大切なものです!

バーの種類、設計によって、歯を守るものと、悪くしてしまうものがあります。

稲葉歯科医院では患者様の歯の状態によって、バーの設計をしています。

かんだ力が反対の歯にほとんど力が伝わらないようなバーの設計をして、歯を守ります。

もちろん既成のバーではなくて患者様のあごにあわせたオーダメイドの鋳造床です。

金属の種類は、チタン、金、コバルトクロムがありますが、それぞれ精密で頑丈です。

後パラタルバー(トーションバー)

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トーションバーはねじれた形をしていて、たとえば右側でかんだ力をバーで吸収して、左側にうつさないような形になっています。

アディダスの靴の底にトーションシステムというのがあります。

これは、歩いた時の衝撃をトーションシステムのねじれた形で吸収して前足と後ろ足に伝わらないようして負担を軽減するようなクッションです。

それと同じような考えがトーションバーです。

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上あごの後ろの方にバーがくるので舌のじゃまになるのでは?

と思うかも知れませんが、前の方にくるほうが舌のじゃまになるのです。

前の方にバーがあると、入れ歯の安定も悪く、発音に関与する場所でもあるので話しがしずらくなります。

後ろにバーがあると、入れ歯の安定がよくなり、発音もよくなります。

硬い口蓋骨のところにバーがあり、嘔吐反応もありません。

バーが中途半端な場所にあると気になってしまいますし、軟らかい軟組織にバーがあると沈みこんだりして違和感があったりします。

このバーにより歯全体を強く連結し、守るような形になります。

シュパルテ 

 

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そして、この床の形がシュパルテです。

とても斬新な形で一見これが口の中に入ると違和感を感じそうですが、これが本当に結果がいいのです。

非常にデリケートな方にも受け入れてもらえていて、みなさんそろって「違和感がない」とおっしゃっていただけます。

先日、シュパルテを入れた患者様に使い心地を聞いてみたところ、

「保険の入れ歯を簡易的にいれたら、前の方にバーがあったため、発音がうまくできないし、食事がおいしくなくて、人生の楽しみが半分なくなった感じがし ちゃったよ、この入れ歯になってから、発音はなにも問題がないし、入れ歯が動くことがないからこの前は上海ガニをバリバリ食べたよ!」

アハハハと笑って話して下さいました。

本当にこんな風に感じている方が多いのです。

しかもトーションバーのねじれによって力を吸収するのと一緒で、アルファベットのEの形で真ん中に伸びたところで力を吸収します。

トーションバーも優れていますが、最近は圧倒的にこのシュパルテで対応することが多くなりました。

シュパルテは、リヒテンシュタインのDR.シュライヒ から教わりました。

DR.シュライヒは総入れ歯で非常に有名な先生で、わたしたち家族もとても仲良くしていて、引退された今でも交流があります。

リンガルバー

 

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下の歯に対しては、リンガルバーというバーで対応しています。

上の歯はリーゲルテレスコープで鍵が二つ、そしてリンガルバーによってたわまないようにしています。

バーそ下のほうにもってくることで発音をしやすくしています。

また清掃性もよくしてあります。

バーの設計をしないで、ただ両側をつなげるだけではなんの意味もないばかりでなく、てこ作用によって、歯を抜いてしまうかもしれません。

年をとったら入れ歯。これを当然のことと考えていませんか?

80歳以上の健康で元気なおとしよりが増えている一方、歯は50代で失う人が多いようです。

実は、メンテナンス次第で歯の寿命は延びるということをご存知ですか?一生自分の歯で食べることも十分可能なのです!

歯を失うことは、食べることだけに影響するのではありません。

話すこと、表情、脳の血流など全身の健康に広く影響します。その結果、歯がないことが、楽しく、充実した老後を送るための大きな障害になってしまいます。

歯を失う原因の多くは、歯の成人病といわれる歯周病と噛み合わせの不調和によるものです。

この大敵を上手に予防、発見し治療していくことで、生涯自分の歯で生活することが可能になります。

「もう年だから、歯を失うのもしょうがない」

と考えずに、一本でも多くの健康な歯を残すことで、豊かな老後を満喫したいものです!

【噛むことはこんなに大切!】

歯は全身の健康に関係があります。

健康で豊かな老後を迎えられるように、おとしよりにとって、話すことと食べることはかけがえのないものです。

そこで大切なのが歯の存在です。

不自由なく何でも食べられることと、大きな声で人前で笑えることは無上の喜びです。そのためには歯の存在が必要なのです。

また、歯は単に食べること、話すこと以外にも、全身の健康と深いかかわりのある大切な機能をもっています。

このことは最近になってさらに研究が進んでいて、歯の存在が全身にとって非常に重要であることがわかってきました。

歯があるからこそ噛むことができます。ふだん何気なく行うことですが、ひとつには口の中で食べ物を小さく砕いてだえきの混ぜ、食物をひとかたまりにし、飲み込みやすくするという機能があります。

でも、それだけではありません。

歯の存在は私たちの表情をつくってコミュニケーションを助けます。

さらに全身の健康という意味で重要なのは、噛む動作によるあごの働きです。

噛むときに必要な力は筋肉の老化を予防します。そうです、よく噛めるということは若返り、今でいうアンチエイジングの効果があるのです!

また、上下の歯が強いちからでぶつかり合うとき、下あごの力を上あごがしっかり受け止めます。

このときの衝撃はあごから頭につながり、頭蓋で吸収されていきます。

そのため、噛むことによって脳が刺激を受けることになります。

最近の調査では、現代人の噛む回数は昔と比べて大幅に減っているそうです。

日本では軟食傾向が強まり、噛まない食文化になっています。

軟らかくておいしいとか、軟らかいものがおいしいといった食が好まれています。

これに比べ、ヨーロッパ、特にドイツの食生活では硬いものが好まれています。

硬くておいしい、硬いものがおいしいといった感じでまるで逆です。

そのため、ドイツの入れ歯は自然に硬いものが噛める、硬いものを噛んでもこわれないようなものが使用されるようになりました。

これがリーゲルテレスコープです。

ドイツのリーゲルテレスコープを父稲葉繁がはじめて日本に紹介してから30年近くなりますが、当時治療した義歯が現在も使われていることから、とても長持ちする入れ歯です。

今、歯を失うとインプラントという傾向にありますが、インプラントをしたくない人、また骨が高度に吸収していてできない方もいっぱいいらっしゃいます。

ただ、一般の人にリーゲルテレスコープはまだまだ知られていません。

これからすこしづつ、みなさんにリーゲルテレスコープの良さを 伝えていきたいと思っています。

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稲葉歯科医院 院長 稲葉由里子 顧問 稲葉繁

稲葉歯科医院
院長 稲葉由里子

昭和44年に父、稲葉繁(現・顧問)が文京区伝通院で稲葉歯科医院を開業、平成11年に場所を移して秋葉原で新しく開業しました。

「入れ歯が合わず、食べたいものが食べられない」
「口を開けると金属のバネが見えるのがいやだ」
「うまく発音できないので、しゃべるのがおっくう・・・」

このような入れ歯のお悩みをお持ちの方、多いのではないでしょうか。

当院では、入れ歯の本場ドイツで直接学んだ技術を活かし、つけていることを忘れるくらい、自分の歯のように何でも噛めて、笑顔に自信がもてる入れ歯を作っております。

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